スタッフ日記

Greetings from Busan, Part 4

公式発表によると65ヵ国から計2,998名(うち日本からは97名)が参加登録したアジア・太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)は、30日(火)に閉幕しました。 ICAAP11

滞在先のテレビで朝晩に観ていたBBCやCNNのニュースでは、緊迫するリビア情勢やナイジェリアで起きたテロ事件などの報道が連日繰り返し流れていました。ICAAPの全体会議のひとつで講演した研究者で活動家のデニス・アルトマンが、HIV/AIDSをより広く、世界で起こっている様々な社会正義やガバナンスに関わる問題と結びつけていくアプローチが今後は重要になるだろうと話していたのが印象に残りました。

その他に目についたのは、昨年の国際エイズ会議で採択されたウィーン宣言以来、引き続き薬物使用のテーマに関して高い注目が注がれていたこと、国際労働機関(ILO)によってセックス・ワークが労働と認識されるようになってきたことなどほか、薬物使用者やセックス・ワーカーら特にHIV/AIDSに影響を受けやすい主要な人口集団を指す"Key Affected Populations(KAP)"のコンセプトが浸透しつつあることなどが挙げられます。コミュニティなどで支援や啓発を行うグループとして、NGOやCBOと並び、FBO(Faith-based Organization、信仰に基づく団体)の実績もよく聞くようになったように感じました。

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いわゆる社会系のプログラムが多いICAAPですが、2年前に開催された前回の会議で訴えられていたテーマやロジック、そのものズバリ同じフレーズを、今回の会議でデジャヴのようにまた見聞きすることがありました。それだけ達成が難しかったり、あるいは普遍性のあるテーマだったりする故なのかもしれませんが、一方で「あれから2年間、あなたたちは一体何をやっていたの?」という手厳しい声も聞かれました。

2年で目に見える結果が出るような活動ばかりではないのでしょう。そもそも、続けられるだけでもすごい、というような厳しい環境で活動をしているのかもしれません。それぞれのフィールドでHIV/AIDSにかかわる人たちが、2年に一度集まって各々のモチベーションを上げてまたフィールドに戻り活動を続けていくためにも、こういう国際会議の場が機能しているのかもしれません。

ICAAPの次回会議は、タイのバンコクで2013年に開催予定です。

 

LTs

★おまけ★

釜山で「Living Together」に新しい仲間が増えました。

おーつき

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