スタッフ日記

ショートコント「診察室」

滞日外国人ら日本語を話さない人たちが、HIV検査やそれに関連する医療にかかる際の支援をする医療通訳の育成を目的とした「通訳とHIV感染症研修会」が都内で開催されました。

通訳としてフォーマルなトレーニングを受けた経験はありませんが、バディなどとして日本語を話さないクライアントと英語を話さない相手とのコミュニケーションをお手伝いするような形で、通訳に準ずる活動をすることがたまにあり、興味があったのでわたしも参加させてもらいました。

外国で医療にかかるストレスや、他にHIVや性に関する事柄について相談できる人がいないという孤立状態などから、患者側から母語で話ができる通訳者に対し、通訳以上の役割が求められることもあるそうです。
通訳としての本来の役割をきちんと果たすためには、限界設定をして適宜他の専門家へつなぐことや、プライバシーに配慮しつつ業務の後には振り返りやシェアリングをすることも重要…等々、他の対人支援職に通じるようなポイントがたくさんあり、また通訳者も地域のHIV/AIDS支援リソースのひとつなのだと認識を新たにしました。
医療現場で話される専門用語は、知識がないと母語であったとしても難解なものばかりですが、医療者の言葉の90パーセントくらいは実は平易な言葉に言い換えることが可能であるという、通訳でなくとも役立ちそうなお話も。

そういった医療通訳の基礎や心構え、外国人のための医療や社会支援体制についてひと通り学習した後は、講師たちが患者・医師役となり診察室でのやりとりを模したロールプレイ形式で、参加者が実際にそれぞれの言語で通訳を行うという演習をみっちり。
HIV陽性告知などで取り乱したり、患者・医師間の信頼関係が損なわれ板挟みにされたりした場合どう通訳するか、などのお題がシナリオに盛り込まれていました。
ド素人のわたしは最初あたふたして日本人医師役に英語で話しかけ患者役には日本語で話しかけたり、訳しているうちに伝言ゲームがごとく言っている内容が変わってしまったりと、傍から見たらまるでコントのようだったとか。
通訳の難しさと、だからこその重要性、そして面白さ(?)の一端も、身をもって知りました。

とりあえず、通訳は(現世はムリそうなので)生まれ変わったらなりたい職業No. 1に!

おーつき

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