ぷれいす東京 専任相談員 生島 嗣
「HIV感染」と「AIDS(エイズ)」は同じではありません。HIVというウイルスに感染した後、検査を受ける機会がなく、治療のタイミングを失う場合があります。その場合には、急性期、無症候キャリア期、AIDS関連症候群と病状が時間の経過と共に進行することになります。
つまり、最初は「HIV感染症」という状態であり、特定の症状が出た時に、はじめて「AIDS(エイズ)」と診断されることになります。しかし、こうした、病期の進行のスピードは個人により大きな差があります。また少ない割合ではありますが、病気が進行しない人も一定の割合でいることが報告されています。
感染しても気づかずに、治療をしないでいると、感染が成立してから数年から十数年の間は無症状の状態が続くといわれていますが、免疫力が低下した時期には、共存していた細菌やウイルスにより引き起こされる日和見感染が出現することになり、さらに免疫の状態が低くなると、以下の23の症状が出現した、医学的にAIDSという状態だと診断されます。
医師がAIDSという診断をするための診断基準は、厚生省エイズ動向委員会において診断するための23の指標疾患が報告されています。(1999)(カンジダ症、クリプトコッカス症、ニューモシスチス・カリニ肺炎、トキソプラズマ脳症、サルモネラ菌血症、活動性結核、非定型抗酸菌症、サイトメガロウイルス感染症、単純ヘルペス感染症、進行性多巣性白質脳症、カポジ肉腫、リンパ腫、浸潤性子宮頸部癌、HIV脳症、HIV消耗症候群)などがあります。部分的に引用しています。正確には各自確認してください。
日和見感染症の治療に関する治療や予防に関する経験が蓄積されています。AIDSの症状に対する治療に関しても、治療が難しい症状もありますが、経験が積まれ治療の技術が大きく進歩しているものも多くあります。
初めて感染に気がついた場合には、発見がおくれているために、体内の免疫システムの消耗が大きい場合があります。そうした場合には、薬物治療を開始しても、免疫の能力が快復するのに時間がかかったりしますが、すぐに死にいたる訳ではありません。
(参考資料:HIV感染症の臨床~診療・治療の現状/基礎編:2000年12月版 都立駒込病院感染症科 今村顕史)