神原 奈緒美/ぷれいす東京 相談員
HIV検査が妊娠中に行なわれる場合には、HIVに感染していないのに陽性の結果がでる場合(偽陽性)があります。その検査がどのような検査なのかにもよりますが、本当に陽性なのかどうかは「確認検査」を行なったうえで初めて確定します。
「確認検査」で陽性だった場合は、さらにご自身の免疫状態やウイルスの量などを把握するために、HIVの専門医に受診する必要があります。
また、陽性と確定された場合にも、おなかの中の子どもが感染しているわけではありません。子どもに感染する可能性があるのは、出産時に子どもが母体の血液にふれた場合、または、母乳を与えた場合です。
子どもへの感染リスクを下げる方策をとることで、現在の日本では母子感染の確率は0.5%以下になると報告されています。主に下記の3つが実践されています。
母親があらかじめ抗HIV薬を服用して、ウイルス量を下げる。
帝王切開をする。
人工乳で育てる。
出産にあたっては、産婦人科医やHIV診療の担当医と事前に十分に話し合うことが望ましいです。しかし、どの医療機関でも同じように、HIVについての最新情報や、HIV陽性の妊婦の出産経験を豊富に持っているわけではありません。子どもへの感染や自分自身の健康についてなど、あなた自身が情報を持つことで最適な選択ができるとよいですね。
下記に出産に望むにあたってのポイントや情報源をまとめてみたので、参考にしてください。
HIV診療の状況や今後の見通しについて情報収集をする。
十分に医療関係者とコミュニケーションをとり、自分の感じている不安や疑問を理解してもらう。
産婦人科の医師だけでなく、HIVの専門の医師の意見を聞く。
他の医療機関、他の陽性者、NGOなど第三者に相談をしてみる。
まずは落ちついて、出来ることをはじまめしょう。例えば、ひとりで考え込んでしまうことがありましたら、ぷれいす東京の「HIV陽性者とその周囲の人のための電話相談」0120-02-8341にご連絡ください。きっと、お役に立てる情報があると思います。また対面相談でも一緒に考えさせていただくことができると思います。
ぷれいす東京では、女性陽性者が少人数で集まって話をする「Women’s Salon」や、さまざまな経験をもつHIV陽性者をお迎えしてお話をうかがうイベント「ピア+トーク」などを開催しています。第1回目のピア+トーク(2013年5月18日)では、HIV陽性と知ったあとに妊娠・出産をした2人の女性に経験をお話しいただきました。その回のレポートはこちらをご覧ください。
<参考>
AIP-Net(エイズ予防情報ネット/HIV母子感染予防対策マニュアル)
http://api-net.jfap.or.jp/library/guideLine/boshi/
妊婦HIVスクリーニング検査(一次検査)で結果が陽性だった方へ(PDF)
http://api-net.jfap.or.jp/library/guideLine/boshi/images/2007_HIV_screening.pdf
女性のためのQ&A〜あなたらしく生きるために〜(冊子.PDF)
http://api-net.jfap.or.jp/library/guideLine/boshi/images/2009_patient.pdf