就職支援セミナー

「BEYOND ALL BORDERS」 たかし(感染告知:2016年9月/服薬歴:2年/初参加/50代)

私自身が障がい者雇用に興味をもったのは、正直もしかしたら、政府からの補助金により、障がい者雇用枠は通常より労働条件がよいにも関わらず、給与面でも優遇されるいわゆる「おいしい」雇用枠なのではという、非常に都合の良い解釈からでした。
今回セミナーに参加させていただき、障がい者雇用は当然そのようなものではなく、
企業にとって障がいをもった労働者とはたまたま私のように普通の健康状態、精神状態を保っているものではなく、身体的、精神的に職場の配慮とサポートが必要な方々のことで、その方たちがいかに快適な環境で業務ができるかを焦点に置いた雇用制度であり、当然給与面も優遇されるものではないと分かり、不純な動機で参加した自分を恥じることとなりました。
ただ今回の参加でなによりも私が印象的だったのが、一見普通に見えるセミナーが実は参加者はHIV陽性の方で、さらに企業の方々もなんの偏見もなく普通にプレゼンをされている光景でした。私のような年代からすると一昔前には考えられないことで、自分がHIV陽性であることを隠さずに堂々と公の場に出てくる参加者、その参加者を前にごく自然にプレゼンをする企業の方々。ごくありきたりのセミナーのように進行してく光景をみて日本もここまで来たのかと非常に感慨深いものがありました。
私は感染の告知受けてから、運が良かったのか、健康、パートナー、友人、仕事、何一つ失うものがありませんでした。それとは逆にこの2年間はHIV陽性という境遇からとても多くのことを学び、得ることができ、自分が置かれた環境に感謝する日々を送ることができました。
今回のセミナーで若い企業の方々が、ごく普通に障害、セクシャリティを受け入れ誠実に接して下さったこと。私の疑問を聞いて下さった司会進行の方が、さりげなく企業への質問の際に私の質問も盛り込んでくださった心遣い。
感染以来、また一つ豊かなものを頂いた気がしました。

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