ピア+トーク

「『伝えること』への向き合い方」ヒロト(2016年告知/服薬歴7年)

薬の選択の話からママ友との関係性の話まで幅広いトピックに話が及んで、濃密な2時間だった。その中でも、いわゆる病気の「カミングアウト」に関する話は印象的なポイントがいくつもあった。
パートナーへの開示については、スピーチをしたお二人とも「HIV感染のことは当然伝えた」「それで離れていく人ならこちらから願い下げ」と語っていて、病気を「伝えることの意味」を強く意識している様子だった。僕たちゲイの間では「U=Uならうつらない。うつらないならパートナーでも開示は不要」という考え方の影響力が強い。伝えることは「必要性」の文脈で語られがちだし、意味については病気を「伝えないことの意味」に着目しがちだ。お二人の語りは、僕が接してきたそうした考え方と対照的だと感じた。
さらに興味深かったのは、自分の子供に伝えるかどうかについては話が変わってくることだ。「子供が傷つかないように」「正しく受け止められるように」と大人になるまで開示をしない選択肢をお二人とも強く支持していた。子供にとって親とはどんな存在であるべきか。親のみが「社会的にスティグマ化された属性」を持っている場合に子供にそれを伝える意味・伝えない意味とは何なのか。この辺りまで深掘りした話も機会があれば聞いてみたいと思った。

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