北風小僧の寒太郎/30代 ゲイ 感染者 都内
告知直後は気持ちが混乱しているので、勢いですぐに周囲にカミングアウトして、後になって後悔してしまう人が多いようです。自分の場合、かろうじて冷静さが残っていたのか、告知後1ヶ月くらいはカミングアウトしようか悩みました。
その結果、元彼と、十年来の親友のゲイカップルの計3人にカミングアウトしました。今でもそれ以外の人には知らせていません。
なぜ彼らなのかというと、まず元彼については、感染が疑わしい期間に付き合いが重なっていたから、検査してほしくて知らせました(幸いネガでしたし、自分 の病気のことを前向きに理解してくれました)。問題はゲイカップルでした。カミングアウト後に一緒に泣いてくれたし、一生友達だよって言ってくれました。 そして、事ある度に自分のことを気にかけてくれるのがひしひし伝わってきて、「知らせてよかった」と本当に感謝しました。
しかし、ある時、ささいなことで口論になって、相手の本心が見えてしまって…。「カミングアウトされてから病気のことが頭から離れないことはなかった」とか、「知り合いにもポジが いるが、その人と同じように、あなたも差別をなくす社会運動やカミングアウトに積極的に取り組んだら」と感情的に言われてしまい…それから長い間連絡を とっていません。十年来ずっと親しくしてきた仲間だったから、自分の生活にぽっかり穴があいたような気がして、今も淋しい思いをしています。
自分のカミングアウト体験から言えること…。
【よかったこと】
・ポジ同士のつながりは作りやすくても、「HIV」ということだけが接点の人達。だから、自分のまるごとを知っているネガ友が自分の悩みを知ってくれるだ けで、安心感が生まれる。やっぱり、自分の生活圏の中にいる人にこそ、悩みを打ち明けられたという実感が生まれる。
・自分にもしものことがあった時、自分の生活状況をよく知っている友達が助けてくれる。
【反省していること】
・自分の独り善がりで決めたことが、返って相手を悩ませるなどの精神的負担を与えてしまったこと。病気のつらさを共有してほしいというエゴがあったように思う。