陽性者と家族の日記

映画 「ヘアスプレー」

なぎさのペンギン

先日、渋谷で開催された試写会で、話題のミュージカル映画
「ヘアスプレー」を観てきました。

太めだけど、とってもキュートなダンス好きの女子高生トレーシー。
彼女の夢は、TV番組が企画したダンスコンテストでレギュラー
メンバーとなり、出演している憧れの同級生の男の子、リンクと
一緒に踊ること。
さまざまな困難にもめげず、ひたむきに自分の夢を追いかける
トレーシー…。
ストーリーはシンプルで、筋立てもよくある展開なのですが
理屈抜きでとにかく楽しい!!
最初から最後まで顔がゆるみっぱなしで、映画を見てウキウキと
心弾む経験をしたのは、本当に久しぶりです。

トレーシーの母親、父親を演じるジョン・トラボルタやクリストファー・
ウオーケンは、僕が中学生だった時代に(!)ハリウッドの青春スターと
して鳴らした俳優さんたち。
さすがにすっかり年を取ったけど、二人が手を取り自宅のベランダで
歌い踊るシーンを見ていたら、自分にとってのその後30年間がダブってきて、
感無量になりました。

試写会では舞台上で簡単な振り付けのデモンストレーションが披露され
舞台挨拶に立った出演者と観客が一体になってみんなで踊った(!)のも
愉快な思い出として忘れられません。

間もなく劇場公開されますので、もう一度観にいこうと決めています!

Rain or shine

なぎさのペンギン

最近になって、晴天の日と天気が悪い日の寒暖の差が
激しくなりましたよね。
僕が勤務する会社の中でも、体調不良を訴える人が続出。
欠勤者も目立つようになりました。

僕自身は体調=機嫌が100%連動している人間なので(笑)、
風邪をひくとそれだけで世界の終わりがやってきたような
鬱々とした気持ちになります。
仕事中ゲホゲホと咳き込んだり、鼻水をすすっている姿は
決して格好のいいものじゃありませんし…

仕事場は、都庁にほど近い西新宿のビルの20Fにあります。
どんよりとした灰色の雲に覆われた雨天の日に、自分の体調が
最悪だったりすると、言動も態度も悲劇のヒロインモード!
しかし、今朝は薄日が射す天気。
ゆっくりながら、少しづつ晴れ上がってきた都心の秋空に、
久しぶりに開放的な気分を味わっています。
今自分が立っている20Fの高さからだと、角度によっては新宿からでも
東京タワーが一望できることにも気づきました。

英語には、Rain or shine という慣用表現があります。
この場合の or は「~か~のどちらか一方」を示すのではなく、
「~と~のどちらでも」という意味。
晴れても雨でも……つまり、「どんな時も」ということです。

自分が眺めている風景の中ではうっとうしい雨でも、
分厚い雲の上には、颯爽とした青空と太陽が輝いているかも知れない。
日々の喧騒の中では、当たり前のこともつい忘れてしまいます。
自分の背丈を考えたら、人間ひとりが見ることのできる世界なんて
ホンのわずかな視野に限られているのだから。

明日はまた別の景色に出会えるかも知れない…と思いつつ、
今日もこうして東京の街を見下ろす自分です。

歯医者通い

ガジ

最近、奥歯が痛み出してどうにも耐え難くなったので
数年ぶりに歯医者に行った。
発覚してから2回目となるが、どうも億劫で仕方ない。

発覚する前は、当然ながら近所の歯科医に通っていたけど
何だか通い辛くなってしまった。
HIV+を明かすのに抵抗があったので
病院で紹介してもらい、電車で一時間ほど掛けて通うことに。
こればっかりは自分が選択したことだから仕方ない。

さして特別なケアをしてもらっている訳でもないけど
自分的には、病気を明かしているということが
安心感に繋がっているかも。

とはいえ、おそらく半年近くは通い続けることになりそうで
面倒だなぁ・・・

至福の瞬間、今年も来る。

たたみ

日々気候は変わっていき、すっかり秋。

そんな日々の中で僕が毎年楽しみにしているものが
今年もやってきました。

キンモクセイの香り。

ひんやりとした空気に乗ってやってくるこの上品な香りを感じると、
頭の中で心地よさがはちきれんばかりになります。
そして幸せな気持ちで満たされます。

昨日は、キンモクセイの花が咲いている木に近づいて花の匂いをフンフンかいでました。
ハタから見るとちょっと危ない人な気もしますが・・・

季節のうつろい楽しむことができるのも生きていればこそ。

この香りは残念ながら長く楽しめません。
気がつくと木の下にたっぷりと散った花が落ちています。
というわけで、この短い至福をたくさん味わうために
今日もがんばってフンフンします。

麻痺。

たたみ

僕のお仕事は土日祝日にお休みをいただける仕事をしています。

近年、ハッピーマンデーて言うんですか?
祝日を月曜日にスライドして3連休になる制度になってますが。
僕はこの週末もありがたく3連休をいただいています。

9月、10月と3連休連発のおかげで
「3連休じゃない週末がおかしい!!」
と思ってしまいそうになるくらい感覚が麻痺してます(苦笑)

祝日は3連休にするとまとまった予定が立てやすいものの、
5日労働の中間、水曜日に休める魅力も捨てがたかったり。

というか、祭日って由来があるじゃないですか?
この週末は体育の日がハッピーマンデーになるわけですが。

体育の日はそもそも東京オリンピックの開会の日を記念しているわけですから、
ズレるのは筋が通っていないのでは・・・

というちょっと納得いかない気持ちもありますが、
気にせずに3連休ゆっくりしたいと思います(笑)

胃カメラ、初体験

朱美

先日、バリウムを飲んで、ポリープがみつかりました。
主治医にその事を報告したら、胃カメラでみることに
なりました。
はじめての経験なので、心配したのですが、10分位で
すんでしまいました。ポリープもありませんよ。胃も
きれいですよと言われて、ひとまず安心しました。
今までは、毎年バリウムを飲んでましたが、来年からは
胃カメラの方がいいのかな?

秋のおとずれ

なぎさのペンギン

今年は残暑が厳しいと思っていたけれど、ここ数日の天候をみていると
季節は確実に秋に移行しているんですね。

この半年、際立った体調の悪化や、治療薬の副作用、精神不安定に
悩まされることもなくやってこられたのですが、そんな「幸運」が
もたらしてくれた「自信」が「過信」につながってしまっていたのかも
知れません。

プライドパレードの打ち上げでも、会社での飲み会でも、ネストでの
何気ない語らいの場でも
「どうしたの?元気ないね」と言われて鏡を見たら
ありゃま、ずいぶん痩せちゃったわあ~。

ハッテン場や2丁目に通う代わりに、スポーツクラブやプールに足繁く
通うようになって、仕事もそれなりにメいっぱい、夜間は専門の学校にも
足を運んで…って欲ばってれば…四十路なんだもの(笑)
そりゃあバテバテになるときもあるって、頭では分かってはいるんだけど。
体脂肪率が13%を切ったって喜んでも、CD4が上がらなかったら
それって意味ないじゃん…ってことなんですが。

病気を言い訳にしたくなくて、少年時代のヘタレな根性なしの自分を
生き直すかのようにがむしゃらになっている、負けん気な自分がいる。
自分のどこかに夏を残しておきたくて、強気強気でいるけれど
自分の老いをしっかり受け止め、秋風を感じたら少しづづ冬支度を
心がける優雅な生き方にもそろそろ目覚めないといけないのに。

とりあえず、睡眠時間は6~7時間を確保して、クラブ2連ちゃんオールとか
は止めないと…「もたねえ~」(爆)

はい、自覚します!

最近、雑感

みのる

最近だけど、小旅行に行ってきた。
人は多かったけど、リフレッシュできた。
期間が短かったので疲れることもなく、楽しめた
おかげで、病気のことも忘れられる‥というか、
普段からあまりかんがえてないんだけど(笑)
まあそれが、数値もたいして下がらず、
治療がのびのびになってる大きな原因かもしれない。
あと、なにかあっても、自分よりも一杯勉強してて、
経験もある人たち、周囲がいるから大丈夫かなと、
安心する向きもあるのかもしれない。
それでも、体調を崩したり、風邪を引いたりなんかすると、
ふと思い出すことが多い。精神的にも弱るみたいだ(笑)

何故か最近は特に人が話してるのを聞くと、
ほう~‥と
感心することが多い。
あ、そう返すか‥。みたいな。

以前はあまりそこまで考えてなかった気がする。
人は何かを失うと、何かを得るということのせいなのかな?

2~3年前に、子供の時から支えにしてきたものを失った。
でも、実は、僕のまわりには支えがたくさんあった。
だからこそ今、幸せに暮らしているのかもしれない。
上を見ればきりがないけど(笑)

ところで、最近なんだか嫌な事件が多いなぁ。
行き過ぎた資本主義は、人をおかしくするのかもしれない

考えてみれば、「同性愛」だってそうだ。

戦争で負けるぐらいまでは、「男色」は粋なもの。
だったはずなのに、いつからか、気持ち悪い。
自然の法則に逆らう人たち?とか分けのわからない理屈が‥。
まあでもそれは宗教の教義のせいかもしれないけど。
価値観や正義なんて、目線や立場や時代や環境で、
ちょっとでも違うと、大きく違う。

あまり、振り回されないように生きていきたいなぁ‥と思う。

‥う~ん、なんかまた重くなった(笑)

買い物の神様

ガジ

最近、買い物に恵まれている。
たまたま行った先で、ワイシャツが安く買えたり、
靴が安く買えたり。
ささやかだけど、ホント、幸せを感じることが多い。

自分の買い物は、悩んで見送って、
やっぱり欲しくなって日を改めてお店に行くと、
大抵、売り切れているというパターンが多い。

一方、嫁さんはというと・・・、
「縁があれば必ず巡り逢える、
逢えなければ縁がなかっただけ」という持論が。
まるで買い物の神様でもいるかのような
余裕シャクシャクの発言をよくする。
そのごとく、あまり買い逃して悔しがっているのを
あまり見たことがないかも。

自分は・・・
何年経ってもその域までは辿りつけないなぁ。

A Letter to me.

たたみ

半年前の僕へ~

『HIVに感染している』ということを告げられ混乱と恐怖で体中がはちきれそうだよね。
今まで普通に送ることのできた生活すべてを失うと思ったよね。
そして「死」の足音をはっきり聞いたよね。
ただ呆然とするしかないよね。
病気になったことを後悔する余裕もない程だよね。

HIVは今はまだ治せない病気。
治らない病気になることはとても不幸なこと。
今までとまったく同じ生活はできない。
正真正銘「身体障害者」になった。

これは事実。

でもね、案外平気みたい。
すぐに死ぬわけじゃない。
ちゃんとコントロールできれば大きな問題なく普通の人とほぼ同じ生活ができる。
これは本当。確認できたよ。
ちょっとした工夫がいるけどね。

それから他の陽性の人の経験を聞いて、いろんな不安に光が見えてきたんだ。
特に大きな光が。。。
今はひとりぼっちの僕だけど、
人を好きになって付き合うこともできるんだって。
そりゃ今までより難しいかも知れないけど可能だって。
ネガティブの人とも付き合い始めたって人もいるよ。
これも事実。

だから大丈夫。なんとかなる。

今だから言えるけど、僕はこの機会に大きなものを得た。
一度立ち止まって自分の人生の立ち位置を確認できるという機会を。
そして自分を支えてくれる周りの人たちのありがたみを。

人はいつかは死ぬ。
「これからをどう生きるか」をしっかり考えることができた機会。
このことを意識して生きることで今までとは少し違うけど、
素敵な生活ができそうな気がするんだ。
こういう形でその機会を得たことは素直に喜べないけど、
せっかくだからプラスに持って行こうと思うんだ。
ブレずにやるのはすごく難しいけどね(苦笑)

なっちゃったもんは仕方ない。
でもなっちゃっても先に「光」はちゃんとあるんだ。
だから今は心を落ち着けることに集中して。

大丈夫。
これからもたくさんの幸せはやってくるし、たくさん笑えるから。

感染を知って半年が経ちました。
この機会に感染を知ったばかりの自分にお手紙を書いてみました。
僕から僕への手紙だけど、感染を知ったばかりでどうしていいかわからない人に読んで欲しいです。
そんなあなたもこの手紙のあて先です。