陽性者と家族の日記 “ひろき”

日本でも同性婚?

ひろき

 同性婚の議論がいきなり日本で活発になってきているようなので、びっくりしています。良くも悪くも日本人って他の国の影響を受けやすいので、欧米諸国で同性婚を認める国が増えてきたので、ここにきて急に議論がわきあがってきた、という印象です。っていうかいつから、そんな議論してたの?って感じです。私個人は、ロジックとしては同性愛者に異性愛者と同じ権利が与えられるべきだと思うのですが、国ごとに議論のペースや文化、伝統が違うので、議論が熟してから導入すればよい、という考え。

 私の住むイギリスでは、同性婚が認められているので、まわりにもたくさん結婚している同性カップルがいます。中には、2度の結婚と2度離婚を経験している友人も。正直、結婚しているカップルをみるとうらやましいですよ。私なんか、結婚どころかパートナーもいないので、制度があろうがなかろうが今のところ関係ないし。結局、制度があっても、それを利用するかしないか、利用できる状態にあるかどうかというのは別問題のよう。ただ、やっぱり選択肢としては結婚というのがあってほしいなと思います。

 愛は形ではないと言っても、国籍が違うカップルとか、やっぱり法律によって認められる力って大きいと思うんですよね。日本の場合、不思議なもんで、“おかま”というと今まで人権とかまったく関係ない、面白い話をしてくれる人、のように思われてきましたが、“LGBT”、“性的マイノリティ”とかいうと人権救済の対象になるですね。カタカナのおかげです。外国発生のコンセプトになると急にゆるくなるというか。流行とかではなく、もっと深いところで、今までの日本の歴史と文化、価値観の文脈の上で話し合ってもらいたいものです。

EUとラべリング

ひろき

イギリスの総選挙、フタをあけてみたら、保守党が過半数の票を取得しました。EU離脱、HIV陽性者の移民規制に言及していたイギリス独立党はわずか1議席の獲得。やっぱり、イギリス人は移民に対する感情論に流されず、冷静にEUに留まることの損得勘定もしています。

実は個人的にはEUの強大化には反対。ひとつのグループの権限が強くなると、その外のグループとの軋轢が生まれるんじゃないかって思うんです。人間って、他者を認識するときにラべリングしますよね。ゲイだとか、HIV陽性者だとか。それと同じで、EUとの権限が強くなることで、EU圏内と圏外、キリスト教と異教徒、白人とそのほかの人種、といったカテゴリー別け、ひいては必要以上の区別や差別につながるんじゃないかと。

理想論でいえば、人を人種、国籍、宗教でラべリングしない、つまり決めつけない、その人となりをみる、が大事なんだと。イギリスににると自分が〝アジア人〟というカテゴリーのなかで見られているのをひしひしと感じます。アジア人なのですが、私は私個人として接してほしいと思うこともあります。でも、やっぱり私自身も人を色眼鏡で見てます。危険から身を守る人間の性なのでしょうか。でも、少しでも自分のなかの色眼鏡の存在に意識することが大事なんでしょうね。

イギリスの総選挙とHIV

ひろき

イギリスの総選挙があと8日後に迫っています。選挙の焦点の一つになっているのが移民問題。移民政策はイギリス政治において長らくホットトピックなのですが、今回はEU圏内からの移民について議論の矛先が向かっているようです。その中で少し気になるのは、今までの二大政党であった保守党と労働党のほかに、EUからの離脱と移民規制を政策に掲げるイギリス独立党の台頭です。

このイギリス独立党の党首からHIV陽性者の移民は受け入れるべきではない、という発言があったようです。確かにイギリスでは外国人でも無料でHIVの治療を受けられますし、私もお世話になっています。その恩恵というのは本当にありがたく感じています(そして私個人はそれ相当の税金を払っているつもりです)。ただ、一方である特定の病気を取り上げてターゲットにするのは、フェアではない、という議論もあるようですし、HIV陽性者の入国することで、HIVの感染拡大を防ぐ効果がないことは国連の調査でも判明しているようです。

今回の選挙がHIVへの偏見を助長するような結果にならないよう、注視したいと思います。

フランス流遊びの哲学

ひろき

ヨーロッパで三度目のスキー旅行にいってきました。今回も、いまだに地理感覚が身についていないフレンチアルプスです。ユ人と一緒に毎晩飲んだり、スキ―したり、スポーツは得意じゃないけど、楽しかったなー。
 
木曜日の晩は地元のバーに行きましたが、真夜中過ぎて客がたくさんも集まってるではないですか。あんなに一日中スキーして疲れているはずなのにさすが、フランス人、夜も元気ですね。そのうち、同じスキー教室のグループの女性を発見。翌朝、レッスン中に話しかけたら、

 「昨日はセーブしてたけど、でも、今夜はノーリミットよ!(金曜日がスキー教室の最終日なので)」

フレンチ娘よ、“ノーリミット”って、お前は一体、どこまでいくつもりなんだ・・・。教えてくれ。

疲れていてもとことん真剣に遊ぶ、フランス流の遊び哲学を垣間見た気がしました。僕も、スキー教室も毎晩の遊びも皆勤賞で楽しんだのですが、ロンドンへ帰りのユーロスターの中で発熱&おう吐。。。やっぱり、“ノーリミット”ではなく、限界はありますね。節度を持って楽しむのも大切です。

イスラム国とLGBT

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イスラム国による日本人人質事件、衝撃的です。彼らが行ったことは決して許されませんが、人を残酷で非人間的な行動に駆り立てる根本的な原因を理解しないと、異なる価値観を持った人とのコミュニケーションはいつまでたっても図ることはできません。

ところで、この事件、私が気になったのは、湯川さんがイスラム国に捕らえられるまでにいたった根本的な原因です。一部報道では、湯川さんが性同一障害で悩んでいた可能性があるとのこと。もしそれが本当だとして、日本社会がそういった方々が受け入れていれば、湯川さんを助けに行った後藤さんも被害にあわなかったかもしれない、と私は思ってしまいました。実はこれって、社会に自分の居場所がなくてイスラム国に参加している人々にも同じことが言えますよね。

異なった価値観を持った人を受け入れる、多様性を受け入れることがいかに難しく、そして重要なのか、あらためて痛感させられます。

お二人のご冥福を心からお祈りいたします。

家族喧嘩

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ヨーロッパでは、お正月の伝統はないので、新年は2日から仕事始めであっさりしています。今年も正月は実家でゆっくり、と思っていたのですが、家に戻ったら、壮絶な家族喧嘩。休むヒマもありません。この歳で思うのですが、家族って不思議ですね。お互い人格を否定しあうまで傷つけて、でも離れられなくて。お互い嫌いなのにお互い似ていたり。理解したいのに、耳を傾けなかったり。でも、一つだけ今回気付きがありました。家族って、誰か一人不幸でも、他のメンバーが真の幸福感を感じることができないって。でも、幸福の形が人それぞれ違うから、同じ方向性で幸福を追求するのは難しい。そういう僕も、日本にいるのが一番の親孝行なのでしょうが、自分なりの幸せを求めて、イギリスに来たわけだし。答えは見えないのですが、できるだけ自分なりの親孝行をしよう、と思いました。

恋の自然消滅…

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最近、今年の初春に出会った彼とは自然消滅しました。お互いに関係が疎遠になり、そのまま連絡が途絶える、というパターン。彼のことを思い出すことはあっても、痛くもか痒くもないし、疎遠になってそのまま連絡をよこさない人は追わない主義(←この上から視線が独り身の原因ですね、はい)なので。でも、無理して人を好きになることができないし、縁もなかったのだと。でも、今年は恋愛に関して豊作です。良いなと思った人と数名会えたので、久しぶりにときめきました。そういう思いをした出会いがったことだけでも感謝しないと。年始にまたパワースポットにいって恋愛力をチャージしよっと!

イギリスでのプライベート医療制度について

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銀歯が取れたので、歯医者に行きました。イギリスには国民保険制度(NHS)があり、基本的に治療費は無料なのですが、歯の治療は別。そのため、自費で高額なプライベートの歯医者か、安めだけど長いこと待つ必要があるNHSの歯医者に行く必要があります。イギリスで正社員として雇用されると、会社負担で医療保険に加入できるので、今回は奮発してプライベートの歯医者に行きました。プライベートの病院はとにかく、高級感あふれています。プライベートの病院が集まるエリアから、待合室、来ている客層からしてまさにゴージャス。NHSの病院とは雰囲気がまったく違います。階級によって通う病院まで違うというのがイギリスらしいというか。定期検診、銀歯のはめ込み、以前審美治療した部分の治療でしめて150£(25000円くらい)。保険が50ポンドおりたけど、それでも100£(17000円くらい)かかったわけで、うーん、やっぱり日本より高い。ただし、イギリスでは何度も歯医者に通わせることはなく、一度でほとんど治療してくれるので、3回歯医者にいくところを1回で済ましてくれた、と考えると、まぁまぁでしょうか。イギリスに来る予定がある方は日本で歯の治療を済ませてから渡英されることをお勧めします。

中秋の名月

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今年の中秋の名月の日、日本のニュースをみていたら、急に月餅がたべたくなって、中華街へ。月餅のファイナルセールで、大きな月餅を2つ買って帰りました。月餅、甘くて重くて食べきれないけど、1年に1回ぐらい食べたくなります。帰りに最寄駅のそばのゴミ箱をあさる初老女性に遭遇。月餅2個は食べきれないし…と思いだし、勇気を絞って「失礼ですが、もしかして食べ物を探してますか? この中国の菓子、もしよろしかったら」と聞いたところ、リサイクルのためにゴミ箱を整理していたとのこと。慌てて失礼を詫びたら、「なんで謝るの?あなたは親切心で声をかけてくれたんでしょ」といってくれました。確かにそういう考え方もあるんですね。その後、月餅はいらないと断られました。後から思えば、イギリス人の初老女性に月餅はハードル高かい、って気がつけよって感じですよね(笑)

一時帰国

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急きょ、家族の用事で日本に短い間一時帰国していました。滞在中に久しぶりにあった親友、実は彼と彼のパートナーも陽性者。陽性者も3人そろうと?病気の話に。二人はまだ投薬を始めていないので、色々と答えられる範囲内で質問に答えましたが、終始明るいトーン。自分のときも、こうやってなんでも話せる陽性者の親友がいたら、気持ちがもっと楽だったろうな、と思ったり。でも、病院や、ぴあ東京の方に助けてもらったんですよね。あのときはもうすぐに死ぬかと思ったり、もう楽しいこともないのかなって(笑)あらためて、今まで助けてもらった方々や親友の存在に感謝。本当にありがとうございました。