陽性者と家族の日記 “ひろき”

とらばーゆ

ひろき

新しいキャリアに挑戦するべく、最近、転職活動をしています。
とはいっても、海外での職探しは日本とは違うので、
選択肢も色々と迷います。例えば、日本に帰って仕事を探すのか、
イギリスで仕事を探すのか、日系の会社と現地の会社か、
など、かなり選択によって勤務地や会社のカルチャーも異なります。
私としては、イギリスに残ったまま、英系で、というのが希望なのですが、
これが一番ハードルが高いです。

一念発起して、ここは集中しないと、と思い、履歴書を書く時など、
ハチマキがわりに、バンダナを頭に巻いたりします。
超久しぶりに、大学受験の時の気分ですが、
人生で、踏ん張るときも必要ですよね。

不安もあるのですが、なるべく明るい未来を想像しながら、
がんばります。病気を抱えながら、海外移住した気力があるなら、
また次の扉も開けるはず、と信じています。

AIにはまる

ひろき

最近、転職活動をしているのですが、友人に勧められてAIのChat GPTを利用しています。
イギリスでは、応募の際に英文で履歴書や志望理由のエッセイを書く必要があるのですが、
文法やスペルチェックはもちろん、箇条書き程度の文章を、
自然な流れの文章に仕上げてくれます。あまりに優秀過ぎて、
逆に自分の仕事がなくなるのではないかと恐ろしくなるぐらいです。

私は英語のネィテイブではないので、AIは本当に頼りになります。
海外移住に興味がある方はぜひ、利用してもらいたいです。
ちなみに、興味がある仕事の業務内容を読み込ませると、
求められているスキルを分析してくれたり、
自分の今までの経歴や経験を読み込ませると、ぴったりな仕事をお勧めしてくれます。

AIを利用するのがチ−トにもなりえますが、まったく0から嘘の経歴を作り上げるのは
できない(できるかもしれないけど、嘘っぽい)ですし、
それで文章を書いても自分で読んで違和感を覚えます。
例えていうなら、優秀な秘書的な存在です。

周囲の人間にも勧めたところ、数名、既に使用している知人がいました。
これからの転職市場(他にも学業とか)、AIを駆使した前提の競争になってくるのでしょうか。
ちなみに、私は英語で無料版を使用しています。
使っていくと面白くなっていくので、是非お勧めです。

イギリス人の秘密

ひろき

かっこよく日焼けした肌になりたい、けど、ホリデ−の資金がない、ということで、
先日、近所の日焼けサロンにいってみました。

実は私は元々地黒なので、今までなかなか日焼けサロンにいったことがなかったのですが、
いざいってみると、老若男女問わず、色々な利用客がいるようでした。

考えてみれば、色白な白人が多いイギリスで小麦色の肌を持つということは、
ホリデーにいったか、夏場の公園で日焼けしたかしか考えられません。
聞くところによると、イギリスで肌を焼くのはホリデ−に行ったことをアピ−ルするため、
ともききます。

具体的な割合は分かりませんが、特に冬場のイギリスで、街ゆく人で日焼けしている人のうち、
ある一定程度は、実は日焼けサロンで小麦色になっているのではないかと考えられます。
日サロに行ったことをわざわざアピールする人は多くないので、
いわばイギリス人の秘密、というわけです。

これは、あくまで私の個人的な推測によるものですが、
脱いだ時に、お尻のなんというか、書きにくいのですが、谷間の部分だけ白い人は
日サロだとみて間違いないと思います(笑)

そんなこんなで、小麦肌を手に入れた私ですが、もともと地黒なので、
周囲の人間で気づいてくれた人は多くありませんでした。
残念!

雨の戴冠式

ひろき

先週末、ロンドンではチャールズ三世の戴冠式が行われました。
日本のメディアも注目したようですが、
イギリス人でもない自分としては、手持無沙汰というか、
意外とやることなかったです。
小雨も降っていたので、テレビで戴冠式の中継を見ていましたが、
次第に飽きてしまいました。そこで、ふと思いついたのは、
式に参列するためにロンドンに滞在している秋篠宮両殿下を見に行くこと。
滞在先のホテルは把握していたので、
戴冠式が終わったタイミングで、自転車をこいでホテル前に駆け付けました。

読み通り、ホテルの玄関エリアでは日本の報道陣、大使館関係者、
現地警察と鋭い目をした日本人SPたちが待ち構えていました。
こういったことをするのは初めてだったのですが、
ちょっとした人だかりも出来ていて、通行人から、誰を待っているのかきかれるので、
その度に、両殿下のことを説明しました。
中には日本の皇室メンバーの知識があるフランス人がいて、「Mako?Kako?」ときかれたので、
その両親の「Kiko」だと説明したのですが、似たお名前のせいか、なかなか理解してくれませんでした(笑)

待つこと1時間以上、小雨のなか、現地警察のバイク隊が先導する車の一列が到着し、
中から両殿下が出てきました。
よくニュースで声がけしているのを目にしていたので、思わず日本語でお二人に呼びかけてしまいました。
そうすると、ちゃんとこちらを向いて挨拶をしてくれました。

海外に住んでいると、こうして日本を代表して、遠い異国まで式典に参加してくださる皇室の方々を
ありがたく感じます。
もちろん、参加はできない世紀のイベントですが、式にまつわる特別な思い出をつくることができました。

イースターホリデー

ひろき

毎年日付が変わる&キリスト教徒ではないので、
在英12年でもいまだに馴染めないイースターが今年もやってきました。
例年予定がないことが多いのですが、今年は友人が誘ってくれたおかげで、
スェーデン・ストックホルムに週末旅行にでかけました。
北欧の方に本当に申し訳ないのですが、つい最近まで、
ノルウェーとスェーデンとデンマークの国名と首都の組み合わせがあやふやでした。
今回の旅で3カ国を制覇し、首都の名前はもちろん、
お国柄の違いに気が付くことができました。

オスロ、コペンハーゲン、そしてストックホルムを訪れたことがあるのですが、
街並みはストックホルムが一番かわいかったです。
複数の島に市街地が広がり、島同士が運河や川で結ばれ、海に面しているので、
北欧のベニスと呼ばれているらしいです。
「魔女の宅急便」の舞台のモデルにもなったらしいストックホルムですが、
ちょっと足を延ばすと、森や川といった静かな自然の風景が広がっています。

名所の中には17世紀に沈み、300年ぶりに引き揚げられたという帆船を展示する博物館もあり、
まさにバイキングの国、海洋王国、と感じました。
そういえば、地元·横浜に、昔の船員向けの北欧料理のレストランや、
北欧出身の船員向けのバーがいまでもあります。
何百年も、スェーデン人が遠い異国の地を目指して、
ストックホルムから船出していったのかと思うと、ロマンがありますね。

さて、スェーデン語でコーヒーなどを飲みながら友人や家族とリラックスした時間を過ごすことを、
“フィーカ”というらしいです。
そういった文化の影響か、街中にはコーヒーとシナモンロールを出す居心地のよさそうなカフェがたくさんありました。
私と友人は、むしろフィーカをしなきゃという義務感でカフェを巡って、
その度にシナモンロールを爆食していました(笑)

ストックホルムは居心地がよくて、目的はなくても、また、訪れたくなる街でした。

デンマークでの同性婚

ひろき

昨年12月、デンマークで友人のゲイカップルの結婚式に出席しました。
厳密に言うと、市役所に婚姻届けを出す際の宣誓式で、
日本でそういった式がないので、書類を提出する手続きを想像していました。

実際には、市役所のスタッフ3名が、伝統的な衣装に身をつつみ、
二人の宣誓を証人として見届けてくれる、より儀式的で、
より暖かく、より感動的な式でした。
立ち会うスタッフは、まるで自分の知り合いの式かのように、
一緒に喜んでいるように感じられましたし、
式に出席した私たちを楽しませようという気持ちが伝わりました。
伝統ある市役所の小規模な集会室で行われた式には、教会のような宗教色はありません。
個人同士が自由意志で結婚を誓い、それを市民社会の代表が見届ける、
というデンマークの社会に根付いた民主主義の深いものを感じました。

結婚した二人は、実はデンマークに縁もゆかりもないイギリス人とカザフスタン人のカップル。
そんな二人がなぜ、デンマークで婚約したのかというと、
諸事情で英国申請した婚約が承認されるのに時間がかかっていたので、
居住者でなくてもカップルの婚約を認めるデンマークで先に結婚したとのこと。
申請すればすぐに承認されるわけではなく、二人は関係性を証明するために、
会話アプリの過去の会話のやりとりを証拠書類として提出する必要があったそうです。
登録費用は日本円で2万程度で、3人の大人が30分程度時間を費やしているので、
デンマークの高い物価を考慮すると、営利目的では受け付けているわけではないようです。

式中に、予想以上に感情がこみあげてきたのですが、同時に、
どんなメリットがあり、何が目的でデンマークは、居住者以外の同性婚を受け付けるのだろう、
しかも、こんなにフレンドリーなスマイルで、歓迎してくれるのだろうと疑問に思いました。
式の証人となったコペンハーゲン市役所(市役所が結婚を受け付けて、証明書を発行)の
スタッフに素直にこの質問をききました。
そうすると、「ただ人間として当たり前のことをしているだけです」という回答。

使い古された自由、平等、人権といった言葉が、あらためて尊く、温かく、そして力強いものだと感じました。

同性婚に関する岸田首相の発言

ひろき

「社会が変わってしまう。」

この岸田首相の同性婚に関する発言は、とても罪深いと思います。
現政権の同性婚やLGBT差別への後ろ向きな姿勢が国内だけでなく、
海外にまで伝わってしまいました。

日本語のてにをはは難しいのですが、性的マイノリティの人間が、
社会の外に存在し、受け入れを危惧している印象です。
実際は、顕在化しにくかっただけで、昔から存在するし、
多数派と同じように人権を持つ社会の構成員です。

この発言が今後、呪いのように岸田首相、自民党、
そして現政権につきまとい、どんなに議論が進んでも、
どこか白けた感じで、不信感がぬぐえなくなります。

私個人としては、欧米でも宗教的なタブーなど、
いくつかの議論の段階を経て同性婚が実現したことを踏まえ、
日本は日本の議論があるべきで、ある程度、
国民が納得してから実現してほしいと思っています。

ただ、セクシュアリティは自分で選ぶことができません、
たまたま少数派で生まれた人間が、誰かを好きになったときに、
結婚という選択肢がない、というのは絶望であり、
将来への不安を感じるし、何より不公平です。

差別禁止法というのも、十代の性的マイノリティなど、
自殺リスクが高い人たちが大勢いるので、命にかかわる問題です。

同性婚とLGBT差別禁止法案は、一部の人たちの特別扱いや、
行動や発言の自由の制限、社会を分断するものではなく、
まずは少数派の安全を確保し、多数派がいるスタート地点に
立たせるためのものだと信じています。

同性婚、できるものなら……

ひろき

先日、デンマークの首都コペンハーゲンを訪れました。
滞在の目的は、親友の結婚式。正確に言うと、婚約届の提出なのですが、
単に届けるだけではなく、その場で届を出す自治体の代表者と
立会人(友人など)のもとで宣誓式が行われます。

今年の夏に出席したフランスでもこのような形式でした。
歴史的な経緯や政治的な仕組みを理解しているわけではないのですが、
民主的な市民社会で、市民の代表が婚約する二人から婚約届を受理し、
立会人が見守る前で、婚約する二人が婚約を誓う、
という形式です。神の前で誓うのではなく市民の代表の前で誓う、という点が
非常に現代的でありながら、民主主義の歴史を感じさせます。

今年はパンデミックの影響で延期された結婚式が多かったのか、
3件の結婚式に出席しました。うち、2件が同性婚で、
私の周りにも、どんどん結婚している同性カップルが増えています。

もちろん同性婚ができる、ということ自体が大きな社会の進歩だと思います。
選択肢がない日本ではぜひ、議論を加速させてほしいと願います。
けど、同性婚という選択肢がある=同性婚できる、というわけでもないんだなと実感しました。
そりゃ、私もしたいんですけど、お相手が……笑。

今年はイメージを膨らませたので、来年はアクションにつなげたいですね。

クロスボーダー+ミーティング

ひろき

ぷれいす東京さんが主宰するクロスボーダー+ミーティングに参加しました。
私はすでに海外に住んでいる立場ですが、
参加する度に自分がなぜ海外にいるのか、海外で今どう感じているのか
将来はまだ海外にいたいのか、と自分を見つめなおす機会になります。

私の場合は、パートナーも子どももいないので、
一人で海外に住み続けるというのは、移住することより困難かもしれません。
海外に移住する理由と、住み続ける理由は、似ているようで違います。

日本人が海外に出稼ぎにでたり、戦争や政治体制から逃れる必要はありません。
日本人にとってのベストな教育機関や
メジャーな就職先は日本国内に存在しています。
性的志向や国籍や肌の色が原因の差別や偏見は確実に存在しますが、
命の危険性を感じたり、制度として甚大な不利益を被るまでではありません。

世界的にも、非常に恵まれている日本をなぜ飛び出てたのか。
よく親に、なぜ?、ときかれました。
学びたいこと、将来のキャリアなど、理由があったのですが、
正直に言うと、ただ海外に行きたかったから、というのが一番の理由でした。
海外に行ってみたい、移住したい、という希望、意欲に理由は必要なのでしょか?
ロジカルな理由や目的をきくのは、ナンセンスだと思います。
まだ見ぬ世界を見てみたい、言ってみたいと思うのは
人間の根幹にある好奇心からくるものだと思います。

この好奇心がなければ、私たちは人間にはなり得なかった。
だから、海外に行きたい、という人に対して、
私は、行きたい、ということだけですでに立派な理由だと伝えたいです。

エリザベス女王の国葬

ひろき

ついにこの日が来てしまいました。
女王陛下が亡くなったら英国はどうなるんだろう、
イギリス人の友人にどうメッセージを送ろうかと考えていました。
私は王室ファンでも歴史家でもないのですが、
王室メンバーはスキャンダル続きで王室廃止論まであること、正しい行いを実践してきた
女王陛下は国の精神的な支柱だったことは理解しています。

日本人にとっては、在位が63年間あった昭和天皇の大喪の礼に近いと思います。
私も、女王が眠る棺が安置された広間とそこへ続く一般人の列や手向けられた花束のコーナーを見に行きました。
列はなんと、土曜日の時点で並んでも、棺をみるには二日後の月曜日までかかる、と言われていました。

一方で、熱烈な王室ファン、植民地主義の文脈から責任を取るべきだと考えている人、
興味がない人、など人種や国籍によって、女王や王室への思いは様々なようです。
それでも、女王陛下が国と旧英連邦の国のために70年もの間、
全てを捧げてきたことは誰しもが認めると思います。

まずは一人の尊い人間として手を合わせたいと思います。