陽性者と家族の日記 “なぎさのペンギン”

Rain or shine

なぎさのペンギン

最近になって、晴天の日と天気が悪い日の寒暖の差が
激しくなりましたよね。
僕が勤務する会社の中でも、体調不良を訴える人が続出。
欠勤者も目立つようになりました。

僕自身は体調=機嫌が100%連動している人間なので(笑)、
風邪をひくとそれだけで世界の終わりがやってきたような
鬱々とした気持ちになります。
仕事中ゲホゲホと咳き込んだり、鼻水をすすっている姿は
決して格好のいいものじゃありませんし…

仕事場は、都庁にほど近い西新宿のビルの20Fにあります。
どんよりとした灰色の雲に覆われた雨天の日に、自分の体調が
最悪だったりすると、言動も態度も悲劇のヒロインモード!
しかし、今朝は薄日が射す天気。
ゆっくりながら、少しづつ晴れ上がってきた都心の秋空に、
久しぶりに開放的な気分を味わっています。
今自分が立っている20Fの高さからだと、角度によっては新宿からでも
東京タワーが一望できることにも気づきました。

英語には、Rain or shine という慣用表現があります。
この場合の or は「~か~のどちらか一方」を示すのではなく、
「~と~のどちらでも」という意味。
晴れても雨でも……つまり、「どんな時も」ということです。

自分が眺めている風景の中ではうっとうしい雨でも、
分厚い雲の上には、颯爽とした青空と太陽が輝いているかも知れない。
日々の喧騒の中では、当たり前のこともつい忘れてしまいます。
自分の背丈を考えたら、人間ひとりが見ることのできる世界なんて
ホンのわずかな視野に限られているのだから。

明日はまた別の景色に出会えるかも知れない…と思いつつ、
今日もこうして東京の街を見下ろす自分です。

秋のおとずれ

なぎさのペンギン

今年は残暑が厳しいと思っていたけれど、ここ数日の天候をみていると
季節は確実に秋に移行しているんですね。

この半年、際立った体調の悪化や、治療薬の副作用、精神不安定に
悩まされることもなくやってこられたのですが、そんな「幸運」が
もたらしてくれた「自信」が「過信」につながってしまっていたのかも
知れません。

プライドパレードの打ち上げでも、会社での飲み会でも、ネストでの
何気ない語らいの場でも
「どうしたの?元気ないね」と言われて鏡を見たら
ありゃま、ずいぶん痩せちゃったわあ~。

ハッテン場や2丁目に通う代わりに、スポーツクラブやプールに足繁く
通うようになって、仕事もそれなりにメいっぱい、夜間は専門の学校にも
足を運んで…って欲ばってれば…四十路なんだもの(笑)
そりゃあバテバテになるときもあるって、頭では分かってはいるんだけど。
体脂肪率が13%を切ったって喜んでも、CD4が上がらなかったら
それって意味ないじゃん…ってことなんですが。

病気を言い訳にしたくなくて、少年時代のヘタレな根性なしの自分を
生き直すかのようにがむしゃらになっている、負けん気な自分がいる。
自分のどこかに夏を残しておきたくて、強気強気でいるけれど
自分の老いをしっかり受け止め、秋風を感じたら少しづづ冬支度を
心がける優雅な生き方にもそろそろ目覚めないといけないのに。

とりあえず、睡眠時間は6~7時間を確保して、クラブ2連ちゃんオールとか
は止めないと…「もたねえ~」(爆)

はい、自覚します!

ヨーガにはまる

なぎさのペンギン

週に3~4回通っているスポーツクラブで、最近ヨーガにはまっています。

もともとは、古代インドでバラモン教や仏教などの修行法のひとつとして
考案されたヨーガですが、僕が習っているのはフィットネスがメインで、
古くからあるハタヨーガを現代風にアレンジしたものです。

ハタヨーガには頭立ち(逆立ち)のポーズなど難易度の高い技が
かなりたくさんあるのですが、僕が習っているハタヨーガはそこまで高度な技は
要求されず、片足立ちのポーズ(上体をまっすぐ前に倒し、両手をまっすぐ
伸ばしながら片足を反対方向にまっすぐ後ろに伸ばす)が一番難しい程度。
とはいえ、片足でバランスを取りながら十数秒静止しているのは大変。
様々なポーズをこなし、45分のレッスンが終わると汗びっしょりです。

呼吸もトレーニングの大切なポイントで、インストラクターには
「1分間に合計200回くらい繰り返して」と教わりました。
ポーズの間は苦しいので、呼吸が止まりがちになりますが、
それでも全身の血管に空気が行き渡って頭がシャキンとしてきます。
レッスン後半は内観を深めるための瞑想タイムもあり、
全身の力を抜いてリラックスすると、なんだか修行僧?気分!

免疫って?

なぎさのペンギン

病気になってからというもの、以前と較べて生物学や医学関係
の本をよく読むようになりました。
最近、印象に残ったのが著名な免疫学者 谷口克さんが書いた
「新・免疫の不思議」という本です。

「免疫ってなに?」と聞かれたら、大抵の人が
「病原体を発見して排除するためのカラダの仕組み」などと
答えると思いますが…
実はこれ、回答としては半分しか当たっていないのだそう !

谷口先生によれば、「免疫」とは
「<自己>と<自己でないもの>を区別し、<自己でないもの>を
排除するための仕組み」とのこと。
自分と自分でないものを精神面から判断するのが脳の役目だとしたら、
その細胞が自分のカラダに由来するものか、他者なのかを
細胞レベルで判別する分別システムが「免疫」。
例えば、感染症から身を守る防御システムって、
<自己>と<自己でないもの>を振り分けた結果のひとつとして
現れてくるもので、最初から意図的に排除している訳ではないのだそうです。
だから、システムが暴走しちゃうとリウマチなどの自己免疫疾患になったり、
アレルギー疾患を悪化させたりもする。

日々、免疫関係の病気と向き合っている僕ですが
「免疫が常に人間の味方と限らない」という視点にハッとさせられました。
その人の健康状態によって良い存在にも悪い存在にもなり得る…
ということも…日常生活で遭遇する、さまざまなトラブルに対する
暗喩みたいでなんとなくおかしい。
無条件で味方してくれることなんて、そうそうないんだなあ…って(笑)

それに、人間って…ときどき、自分と姿かたちが著しく異なるものに対して
拒絶反応を示したりするけど…
こういうことも、あらかじめ身体のコンピュータにプログラムとして
組み込まれているの?

生命って、改めて不思議な存在だなあ…と思わざるにはいられません!

OUR DAYS

なぎさのペンギン

先日、東京・新宿2丁目にあるActaで開催された、HIV陽性者の日常を綴った展示
「OUR DAYS 僕らとHIVのLiving Togher日記」に行って来ました。

僕の場合、この病気と「つきあい」始めて、そろそろ2年が過ぎようとしています。
病気によって、日常の暮らしで「何かが変わったか」と言われれば、
変わったような気もするし…でも、大して変わっていないような気も…

ひょっとして、自分はまだ…HIVに感染した自分のコトを受け入れ切れていない
のかな?…なんて、そんな気持ちを引きずりながら会場を訪れたのですが…。

日記を公開して戴いた「ようすけ」さん、「しんいち」さん、「タカシ」さん
の日常を「読んで」いくうち、いつしか自身の日常を重ねながら、
ひとつひとつの言葉を噛みしめていました。

うん?

オレの気持ちも、やっぱり大きく変わってる!

今までに、数え切れない多くの人たちを傷つけてしまった、という確信。
人間て、結局いつかは必ず死んじゃうっていう確信。
人生なんてゲームみたいなもので、どうあがいても前に進めない局面に
出くわすこともあるんだ、という確信。
自分の人生のタイムリミットが、自分で思っているほどたくさんは残ってはいない、
という確信。

HIVに感染しなかったら、コミュニティに参加することもなかったし、
自分を含めたセクシャルマイノリティの仲間たちを、侮蔑して終わっていたに
違いない確信。
HIVに感染してしまったからこそ、自分が同性愛者であることをようやく認められ、
自分の病気やセクシャリティと協調して生きていかなければいけない、という確信。
そして…日本でも、HIVが同性愛者、異性愛者の垣根を越え、
ものすごいスピードで繁殖し始めた、という恐るべき確信。

そのために、自分に何ができるか…という確信は、
我ながら、まだちょっと心もとないのだけど…。

毎日、こうして…呼吸して、食事して、好きな人と一緒に過ごせる時間がもてる
幸福は、生きていられるからこそなんだ…そんな確信。

人生で「確信」が持てたこと、今までの数十年間で一度もなかったかも知れないな。
「確信」が持てる人生って、気持ちの揺るぎが少なくなる…そんなことも
「確信」できました。

この「みんなの日記帳」もそうですが…
色んな人の、いろんな人生があって、すべてがごちゃ混ぜになって共存してるから。

だから、現在が一番オモシロイし、一番大切にしたい時間です。

2007東京プライドパレード

なぎさのペンギン

8月11日、土曜日。
2007東京プライドパレードが無事に終了しました!

今年のパレードは、色々な意味で「変革」へのチャレンジを
余儀なくされたイベントであったような気がします。
「ゲイ&レズビアンパレード」という呼称を
「プライドパレード」に変更したことは、ある意味で衝撃的でしたが、
結果的には大英断ではなかったかと、個人的には思います。

仲間と飲んで浮かれ騒ぎたいだけなら、パレード翌日の
レインボーまつりもある。
東京では、最近はほぼ毎日のようにクラブでゲイナイトも
開催されている。

僕は、パレードは、お祭りであると同時に
大きな枠組みとしての社会へのプレゼンテーションであり、
コミットメントでなければいけないと思っている。
しかしながら、「誰の」プレゼンで、「誰の」コミットメントなのか、
今までは当の参加者自体にも不明瞭だった。

今回からの「東京プライドパレード」は、セクシャルマイノリティの、
セクシャルマイノリティをサポートする全ての人々のためのパレードへ…
大きく変貌しました。

バイセクシャルもゲイもレズビアンもトランスジェンダーも、
そして理解を示してくれるセクシャルマジョリティの人たちも
みんながひとつになって、猛暑の中、汗だくになりながら
演説をし、演奏をし、ボランティアで駆けずり回り
大笑いしながら仮装で渋谷の街を練り歩き、沿道から
声援や拍手を送ってくれた。
残念ながら、理解のない人たちもまだまだたくさんいるけれど
その人たちにも、報道メディアを通じて、メッセージが
世界中に届けられました。

LIVING TOGETHERとは、英語の直訳では
好きな相手との「同棲」を意味する言葉ですが、
現在の僕たちは、社会という大きな家の中で、
不特定多数の仲間と「共棲」しています。
外見の違い、生活行動や考え方の違い、経済格差、
HIVポジティブを含む健康上の理由などから、
とかく「しょせん、自分はひとりぼっち」と
殻に閉じこもってしまう人々に対して、
パレードが果たす影響力は、きわめて大きいはずです。

白いフロートが華々しい演奏とチアに迎えられて
代々木公園に帰ってきたその瞬間…
川田龍平さんと、たった今渋谷を歩いてきた仲間と、
沿道で見守ってくれた仲間と、そして僕自身とが
全てひとつになっていた。
そのことを、はっきり確信できた。

今年のLIVING TOGHTERの感激を、いつまでも忘れることは
ありません。

来年も、「死ぬほど」暑い夏になればいいね~!(笑) 

猛暑に負けない「酸」と「辛」

なぎさのペンギン

長引く梅雨の曇天に、「ひょっとして冷夏?」
なんて心配していた10日前が嘘のよう…
暦の上では立秋を過ぎても、東京は今日も朝から酷暑です。
こう暑いと、夏バテを起こしかねないですよね…

僕の場合、暑い時期には食生活にポイントを置き
「酸っぱいもの」と「辛いもの」「温かいもの」を
好んで摂るようにしています。

スポーツ時には欠かせないクエン酸。
最初はサプリの粉末やペットボトルの飲料を買ったり
していましたが、最近はコンビニのお菓子売り場で
はちみつ漬けの干し梅や種無しの酢漬け梅を選んで
スナック代わりに食べています。

日頃からジムでのスタジオレッスン、筋トレなどで
けっこう肉体を酷使している方だと思うんですが
運動翌日の疲労がほとんど残らなくなりました。
(クエン酸が疲労のもとになる乳酸の生成を妨げる、
という説、最近では「科学的な根拠がない」とされて
いるみたい。でも、自分の場合はすごく効くんですよ~、
クエン酸)

勤務の合間のランチタイムには、辛いもの。
カレーやトムヤンクンもいいですが、
最近は極辛の麻婆豆腐丼「陳麻飯」を食べに行きます。
食事中は水も飲まず、辛さでビリビリ痺れる舌の感覚を
楽しんでます(ちょっと変な趣味?)
もともと甘党で唐辛子の辛さが大の苦手だった僕ですが
この「陳麻飯」でだいぶ鍛えられました!

焼けつくような暑さが続くと、エアコンを「強冷」にして
氷水ばかり欲しくなりますよね。
僕も冷たいものをがぶ飲みするのが好きな方ですが
もともと汗かきの僕にとって、かえって発汗量を
増やしてしまうことが分かってきました。
トイレも近くなっちゃうし(笑)
そこで、仕事の合間に努めて給茶機の熱いお茶や
常温の水を飲むようにしてみたところ、
内臓の働きが活発になり、体のダルさが取れました!
夜もぐっすり眠れます。

みなさんにもそれぞれの夏バテ防止法があると思いますが
何はともあれ、暑さを乗り切りましょう!!

はじめまして

なぎさのペンギン

今月から、日記を書くメンバーに参加させていただくことになった「なぎさのペンギン」です!
「なぎペン」と憶えてくださいねっ♪(笑)

プロフにある通り、セクシャリティはゲイで、普段は(20年近くなるのに未だなじめない)サラリーマンをやってます。
友だちに言わせると、外見的には「若い」けど、精神的には「若い」のではなく「幼い」のだとか!

平凡な人間である僕が、ありふれた日々の中で感じたり、出会ったりしたさまざまなできごと…

うす味のお茶漬けのように・・・あっさりと、てらいなく、サラサラ~ッと書き連ねていきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします!