スタッフ日記

オレンジの国から deel 7

おーつき

今日はとうとう気温が37℃まで上がったアムステルダムです。
お店のディスプレイに飾られていたチョコレートを事務所のお土産に買おうとしたら、店員さんに「今日はあまりにも暑いので、チョコレートは売らないようにとオーナーから言われているんです」と止められてしまいました。
 

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アムステルダムには、ミュージアムがたくさんあります。オランダと言えば!なゴッホやフェルメール、レンブラントなどの画家の美術館を巡るもよし、拷問、大麻に、セックスやエロティシズムの博物館などもあります。

アムステルダムの飾り窓地区にある、「売春博物館(Museum of Prostitution)」に行きました。
オランダでは、セックスワークは合法の労働で、セックスワーカーは商工会議所に登録した上で仕事をします。客の平均滞在時間は6分、一番依頼が多い行為はフレンチ・キスで、セックスワーカーの70%には配偶者か長年のパートナーがいる…といったデータや、セックスワークへの思い込み・偏見を打ち破るような展示物が満載の博物館でした。
一方、セックスワーカーには外国人労働者が多く、オランダ人のセックスワーカーより少ない報酬で働いていることや、客からの暴力や人身売買の被害に遭うこともあるといった負の側面も描かれていました。


ちなみに、今回の国際エイズ会議では、欧米の一部の国で買春を処罰の対象にした結果、セックスワークがアングラ化してしまい、セックスワーカーはよりHIV/エイズなどの健康上・安全上のリスクにさらされることになったという研究発表がありました。

オレンジの国から deel 6

おーつき

今回の国際エイズ会議では、2015~17年度の厚生労働科学研究班「地域においてHIV陽性者と薬物使用者を支援する研究」(研究代表者:樽井正義(ぷれいす東京))の一環で実施した生島さんの分担研究「LASH調査」の結果をもとに、トランスジェンダーの性の健康とHIV/エイズに関するポスター発表を行いました。
※ポスターのPDF版はこちら

UNAIDSによると、一般人口の49倍HIVに感染する可能性が高いといわれるなど、HIV/エイズ対策のキー・ポピュレーションと位置づけられ久しいトランスジェンダー。
しかし、トランス女性はMSMのデータの中で同じ扱いにされていたり、トランス男性に至ってはそのMSMのデータにも反映されていなかったりと過小代表されている状態が続いています。LGBTQの間にも根深いトランスフォビアや、性別二元論に当てはまらない人たちに対するスティグマがあることが、今回の会議でも指摘されていました。
世界に先駆け同性カップルの婚姻を認めたオランダでも、意外にもトランスジェンダーの権利についてはいまだ明文化されていません。
 

ぷれいす東京でも徐々にですが、今回ポスター発表を行った調査のような、トランスジェンダーの性の健康に関する取り組みを始めています。
 

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1992年に「エルトン・ジョン・エイズ基金」を設立したイギリスの歌手エルトン・ジョン卿。パートナーのデヴィッド・ファーニッシュ氏と共に会議に参加し、LGBTQに関するセッションのひとつをホストしました。
 

 

 

 

ナチスなどの迫害の犠牲となったLGBTQらを追悼するモニュメント

オレンジの国から deel 5

おーつき

アムステルダムに3ヶ所ある薬物使用ルーム(Drug Consumption Room)のうちのひとつを訪問しました。
オランダでは、マリファナなどのソフトドラッグを、個人が私的に使用することは非刑罰化(「合法化」ではない)されています。
HIV等の感染予防のため、ヘロインなどの静脈注射薬物使用者に清潔な注射針・シリンジを提供するハーム・リダクションを行うことは知られていますが、薬物使用ルームもハーム・リダクションの考え方による取り組みのひとつです。

例えば、マリファナを店で購入し自宅に持ち帰って使用する分には個人使用として刑罰の対象になりませんが、自宅のような私的スペースのないホームレスが道端で使用するとなると、罰せられかねません。
今回訪問した薬物使用ルームは、ホームレスを中心に1日あたり約500人の利用があり、ドリンクを飲んだり、シャワーやランドリー、ソーシャルワーカーへの相談サービスなどを無料で利用できます。単に薬物を使用するだけの場所かと思いきや、ソーシャルネットワーキングや自立の機会を提供することに重きを置いていて、路上で孤立するホームレスが薬物使用ルームの利用をきっかけに他の薬物使用者やスタッフら支援者とのつながりを作れるように配慮されています。
カナダのブルース・K・アレクサンダー博士の「ラットパーク」の研究にあるように、人が薬物を使用してしまうのは、快楽や薬物の依存性のせいではなく、孤独やストレスなどの苦痛から逃れるためである、という根拠に基づくものです。これまでに、薬物使用ルームの利用を経て自立し、ホームレス状態を抜け出し、薬物も使用しなくなったという人を多く送り出したそうです。

なお、この薬物使用ルームはルールに同意して利用登録をした薬物使用者のみが利用でき、そのルールは(誰でも守れるよう)「1. 安全、2. 衛生的、3. ストレスのない状態」に努めることの3つのみ。

アムステルダムでは元々薬物使用者全体の30~40%がHIV陽性であったのが、注射針・シリンジ交換プログラム導入後に12%に、1998年に最初の薬物使用ルームができてからは4%にまで下がったとのこと。また、薬物使用ルームでは路上とは違い、オーバードースなどが起こっても誰かがすぐに応急処置や救急搬送等をできるので、薬物関連死も激減したそうです。

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ソフトドラッグは街中にある「コーヒーショップ」などで販売されています(ただコーヒーを飲むだけの普通の喫茶店であれば、「カフェ」)。

オレンジの国から deel 4

おーつき

以前から、HIV陽性者の中に抑うつ傾向などメンタルヘルスの課題をあわせ持つようになる人が一定割合でいることは、数々の調査研究で明らかになっています。

今回の会議では、メンタルヘルス全般に焦点を当てたセッションがいくつかありました。
ひとつは、先住民族のコミュニティでHIV陽性者のメンタルヘルスをどう支援するかというテーマで、特に自殺リスクの高さへの対応を考えるというものでした。
医療者が着目するのは、精神状態が悪化すると抗HIV薬のアドヒアランスにも影響するということですが、あえて抗HIV薬の服用をやめる、という形で死に近づこうとする道を選ぶ人もいます。

また、自殺にもスティグマがあり、語りにくさがあります。

1990年に感染が分かったという、カナダの先住民族出身のHIV陽性者による発表がありました。
当時、彼の出身コミュニティに感染が知られたら一族の恥になるので、自死を考えているということを思い切って医療者に打ち明けたところ、その気持ちを否定せずに、自殺しないで済む方法を一緒に考えようと言ってくれたことから信頼関係が築けたとのことでした。

HIV陽性告知直後の特に心理的なサポートが必要な段階でそれを受けられないでいる陽性者は多く、医療者は血中ウィルス量などの検査だけでなくメンタルヘルスのスクリーニングをすること、HIVケアカスケードだけでなく、メンタルヘルス・ケアカスケードの「90-90-90」(HIV陽性者の90%以上がメンタルヘルスのスクリーニングを受け、うち課題がある陽性者の90%以上がケアを受け、そのうち90%以上が安定した状態になる、等)にも取り組んでいく必要があるという話で、このセッションは結ばれました。

先住民族のコミュニティにおける知見でしたが、ある程度他の環境にも当てはまるような、示唆に富む内容だったのではないかと思います。

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エイズ会議仕様になっていた王宮前のダム広場

オレンジの国から deel 3

おーつき

1980年代に起こったHIV/エイズの危機に対し、早い段階からMSMや薬物使用者などスティグマ化されていたコミュニティとの協働を始めるなど、社会問題への先進的な対策で知られるオランダ。HIVケア・カスケードの「90-90-90」も既に達成しています。

オランダの子どもへの性教育・性の健康への支援の取り組みを紹介するセッションに参加しました。
VRを使ったシミュレーション、人気YouTuberと一緒に考える性の健康、チャットによる相談といった最先端のICTを活用しつつ、しかし根幹では、大人と同様に子ども個人の権利を尊重し、子どもたちにも自分で考えて動く力があるということを前提に、その自己効力感をサポートしていくことを大切にしていたのが印象的でした。

  • オランダのティーン向けの性教育ポータルサイト「SENSE
  • ぷれいす東京の性の教育セミナーはこちら(宣伝)

一方別のセッションでは、トランプ政権になってから、米国政府が(調査研究によって、負の影響しかないことが明らかになっているにもかかわらず)禁欲教育への予算を増額していることの問題が指摘されていました。
米国は2020年の次回の国際エイズ会議をサンフランシスコとオークランドでホストしますが、2012年のワシントンDCでの会議の際に一部で入国拒否をされたセックスワーカーたちは早々に会議のボイコットと、同時期にインドで別のイベントを開催することを表明しています。

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こちらは会議場の製薬会社のブースの前に陣取り、薬価が不当に高いと抗議する活動家たち。

オレンジの国から deel 2

おーつき

第22回国際エイズ会議が、アムステルダムで23日に開幕しました。
アムステルダムでこの会議が開催されるのは、1992年以来2回目。当時、会議場でゲイであることをカムアウトし、その後祖国エジプトを追われることとなった俳優のオマー・シャリフ・Jr.(映画「アラビアのロレンス」で知られる故オマー・シャリフの孫)が開会式の司会を務めました。

開会式に登壇したオランダのメイブル妃、この日別のプログラムに登場したイギリスのヘンリー王子ともに、2016年の前回会議から引き続き若者の深刻なHIV感染拡大にスポットを当て、対策への支出拡大を強調していました。

前回の会議で話題を独占していたPrEPは、2年を経て既に普遍的なトピックのひとつとなった印象があります。
なお、オランダ政府が先週、公費によるPrEPを開始すると決定したというニュースが、会議参加者にも歓迎されていました。
 

 


 

 

 

 
今年、HIV陽性であることを公表したオーストリアの歌手コンチータ。メディアは悲しいストーリーばかりでなく、HIV/エイズの医療の進歩についてもしっかり報道するべきで、それがスティグマの低減につながる、と開会式で力説。

オレンジの国から deel 1

おーつき

「いいなぁ、オランダはきっと涼しいよ!」と送り出してもらい、国際エイズ会議に参加するためオランダのアムステルダムへやってまいりました。
7月のアムステルダムは、平均最低気温が13℃、平均最高気温は22℃。

 

( ゚д゚) ・・・

 
(つд⊂)ゴシゴシ

 
(;゚д゚) ・・・

 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ

 
  _, ._
(;゚ Д゚) …!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
ヨーロッパにも熱波が来ているようです。

オロナミンCが一番売れた日

さとう

昨夜、というか朝方のW杯。日本vsベルギー戦、最後まで応援しました。終わり方は、あ〜〜〜という、あっという間の相手のカウンターで、敗戦。多分僕と同じように、もしかするとベスト8?なんて期待していた人も多いはず。夕方になって、眠気が襲ってきたので、コンビニに走って、オロナミンCを買おうと思ったら、最後の1本でした。みんな同じ思いなのね。日本中のみなさまお疲れ様でした。

求愛される日々

まきはら

なんかいつも通り?、ぼーっとしていたら、もう7月も目前。早いもんでございます。しかも、昨日辺りから暑くなってきて、体内から色々と汗というか汁が湧き出てくる始末。ツユダクの日々が始まりそう…。

さて、研修とか全然関係ない話ではございますが、いつもものぐさな私の、頼りなるパイセン。amazパイセン。お世話になっているので文句もいえませんが、時々くっつけババアみたいな感じで、色々と勧めてくれたり、教えてくれたりと、求愛行動をしてくるのはみなさまご存知かと。そんなパイセンの先日の推しは、演歌の大御所牧村三枝子氏のCD。えっと、身に覚えないんですが、どういうことっすか?(汁)そんなパイセンのゴリゴリの押しっぷりにガクブル。パイセンなりの推し基準なんでしょうけど…。あまりの衝撃に尿漏れしそうになりました(嘘)でも、このゴリ押し?、意外に癖になりそうかも…。もっと勧めて、もっとアタクシに刺激をくださいまし、月1くらいで(笑)

そんなことより、ボランティアを絶賛募集中。研修は9月でちと先ですが、9月の連休の予定を考える時には、ぜひ候補に考えてくださいませ。ちなみに今年の9月は長期連休とはいかないみたいですねぇ。あぁ、なんて研修に向いている日程なんだぁぁぁぁぁぁ。
あのー、研修3日間は詰め込み系というか、スパルタ系というか、オラオラ系というか、お腹いっぱい、頭いっぱいになるなかなかのスケジュールなんですが、研修を受けるとHIVの今がなんとなーくわかるようになっているはず。ぜひ、毒味、もといご試食あれ。気になったかたは、オリエンテーションにご参加くださいませ。お待ちしております。

パイセン好みに染められそうな
ぷれいす東京 まきはら

A型肝炎が20年ぶりに感染拡大中。

生島

東京都への報告が大変な状況になっています。例年60人前後の報告でしたが、この6月中旬までで、既に200人を超えています。食事を通してという事例もありますが、性行為での感染が増えているといいます。そこで、HIV陽性者限定ですが、緊急の学習会を企画しました。まずは、学習会にぜひご参加ください。
予防にはワクチンが有効ですが、1回に7,000円ぐらいの費用がかかり、かつ2〜3回の接種が必要なので、躊躇する人も多いです。
体調不良で病院に行ったら、いきなり2週間の入院。潜伏期間(2〜7週間)が長く、感染力が強いこともあり、出会ったばかりのパートナーに感染してしまった。「ワクチンを打たなきゃ」と迷っている間に感染してしまった。今回、経験談を話していただく3人の方々の話を聞くと、防げるならば防いだ方がいいと思うのです。

今回は、専門医の講義を聴きながら、3人の当事者の経験も聞けるという、大変に貴重な機会です。ぜひ、この機会にご自分の予防対策を考えてみてください。

 

ネスト・プログラム A型肝炎について知ろう!

7月1日(日)18時〜(開場17時半〜)

講師:今村 顕史(がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長)

スピーカー:A型肝炎に最近かかった3人の経験者

 

当日話してくれる、A型肝炎に最近かかった3人のスピーカー。

1:男性/HIV陽性/50代
体調不良があり、拠点病院に行ったら、即入院を勧められました。潜伏期間が長いため、出会ったばかりのパートナーにも感染させてしまい、迷惑をかけてしまいました。

2:男性/20代
肝炎が流行っていることを聞いて、予防接種を受けようと思っていた矢先にかかってしまったのですが、すぐに退院できたのでホッとしました。

3:男性/60代
食欲がなくなり、39度くらいの熱が出て、いつものカゼとはちょっと違うなと思って、webで調べたらA型肝炎ではないかと思い、調べたら肝機能の数値があがっていた。入院安静を求められた。主治医は、若い人たちにはワクチンを勧めていたけれども、年齢でまさかと思っていたといわれた。

【日時】7/1(日)18:00〜20:00(開場17:30)
【対象】HIV陽性者(参加には事前の利用登録が必要です。)
【定員】80名
【会場】新宿区内(お申し込みの方に直接お知らせいたします)
【参加費】無料
【手話通訳】あり

➡️ 詳細・お申し込みはこちら。

 

参考サイト:

FORTH
2017年06月08日更新 A型肝炎への注意の呼びかけ -欧州、アメリカ大陸
http://www.forth.go.jp/topics/2017/06081148.html

HIVマップ
東京中心に男性の間でA型肝炎が流行しています
http://www.hiv-map.net/hepatitis-a/

GENXY
“アナル舐め”に注意!ゲイの間で「A型肝炎」が流行中