スタッフ日記 “生島”

HIV/エイズの歴史アーカイブについて

生島

このサイトには、現在、下記サイトに7本の動画が掲載されています。

HIV/エイズの歴史アーカイブプロジェクト
https://ptokyo.org/history-archive/
前代表の池上千寿子さん、ジャーナリストの宮田一雄さん、日本で最も早く専門外来を立ち上げた根岸昌功さんの3人のインタビューが掲載されています。ぜひ、ご覧ください。

そして、1993年にHIV感染を知った二人の男性に話を聞いています。30年前、お二人は20代〜30代でした。
当時はNGOの感染者の会は、少なかったのですが、そこに参加してくれたお二人でした。誰かと出会う安心感、孤立感を軽減できるというメリットもありましたが、有効な治療法がまだ開発される前の時期だったので、仲間の訃報に触れるという辛い出来事も多々ありました。その時代を生き抜いた二人の話をお聞きしました。

この日本にも、そういった時代があったのです。
このプロジェクトでは、次世代の人たちも知ってほしい、私たちが経験した時代の体験を動画を通して、記録していきます。ぜひ、ご注目ください。

年頭のごあいさつ

生島

皆さま、新年をいかがお過ごしでしょうか。

昨年、12月に熊本で開催された第39回日本エイズ学会学術集会・総会において、生島嗣は、学会賞「シミック賞」をいただきました。池上千寿子理事、市川誠一さんにつづき、社会系としては3人目の受賞となります。
この受賞は、社会系で活動する人たちに対する評価でもあります。学術集会の中では、現場でエイズ対策に従事する人たちの普段の活動が評価される機会がそれほど多いわけではありません。その重要性をあらためて認識してもらうという意味もあり、お受けすることにしました。

さて、2025年には二つの大きなプロジェクトが動いていました。

一つめは、LGBTQ+の人たちの医療アクセスの課題を改善するための「CONSENTプロジェクト」です。HIV診療において、医療拒否は今なお大きなテーマです。トランスジェンダーの人たちへの差別や、医療受診の際に当事者が差別を恐れて安心して受診できない状況は、決して他人事ではありません。

このプロジェクトでは、医療者・支援者向けの啓発動画を作成しました。専門家によるレクチャーだけでなく、LGBTQ+当事者の語り、HIV陽性者の語りも収録しています。LGBTブームの中でHIVの課題が抜け落ちやすい風潮もありますが、本プロジェクトでは、その両者を同時に扱っています。

医療・福祉関係者や関心のある個人の方もお申し込みいただけますので、ぜひ以下のサイトからお申し込みいただき、ご視聴ください。あと3〜4年は十分に活用できる内容だと思います。まずは3分間の予告編をご覧ください。

「日常診療・支援に活かすLGBTQ+とHIVの基礎知識」入門動画 予告編

公式Web
「日常診療に活かすLGBTQ+とHIVの基礎知識」入門動画

また、CONSENTプロジェクトでは、全国の団体や専門家の協力を得て、LGBTQ+当事者を対象にしたWeb調査を実施しました。回答者は、なんと2,700人にのぼりました。現在、報告書作成が最終段階に入っています。どうぞご期待ください。

そして二つめは、歴史アーカイブの動画制作です。こちらも、まもなく公開予定です。先行して、池上千寿子理事と生島が語る、ぷれいす東京誕生に至る当時の様子を収録した動画を限定で公開します。ここからご覧いただけます。

「ぷれいす東京設立と横浜国際エイズ会議開催〜1994年を振り返る」

また、1993年にHIVの告知を受け、当時20代〜30代だった方々と、久しぶりにトークする機会を持ちました。HAART療法が確立していなかった時代を、二人がどのように生き延びてきたのかを語っていただいています。この日本にも、治療に間に合わなかった人たちが大勢います。二人とともに、その人たちのことを偲びました。その予告編をご覧ください。

「サバイバーのストーリー」予告編

歴史アーカイブ・プロジェクトでは、近日中に7本の動画を公開します。ジャーナリストの宮田一雄さん、日本で最も早くHIV診療の専門外来を主導した根岸昌功さんのインタビューもご覧いただけます。今後も、テキストやビデオによる取材は続きます。ご意見があれば、ぜひお聞かせください。

昨年9月の新規ボランティア研修には、嬉しいことに、複数の20代の若者がスタッフとして参加してくれました。30年を超える私たちの活動を、ぜひ、次世代に引き継いでいきたいと思っています。どうぞ引き続き見守ってください。そして、ぜひ一緒に参加してください。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2026年元旦

ぷれいす東京ロゴ認定NPO法人ぷれいす東京
代表 生島 嗣
スタッフ一同

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TOKYO AIDS WEEKS 2025がスタート

生島

2015年からスタートしたこの取り組みですが、コロナ禍をくぐりぬけ11回目の開催になります。
個人レベル、NGO、医療機関、行政など多様な方々が参加していただき、世界エイズデー前後の情報発信をしてくれています。
この数年、気になる傾向があります。

厚生労働省による統計(2024年年報)を見ても、東京都の(2024年報)を見ても、エイズ発症で感染が判明する人がここ数年で微増が続いているのです。
コロナ禍の対応で、保健所の検査が止まっていた影響もあるかもしれません。若い層、外国籍の人たちの中で、HIV検査が十分でない可能性があります。
東京都のエイズで報告される人たちの年齢層を見ると、10代〜30代が46.8%をしめています。

私のような60代は、大切な人がエイズで亡くなった経験をもったりしています。その一方で、若い層の人たちは、保健の授業で治療が良くなったことを習うけども、
リアルに自分ごととして捉えていない人も多くいるように感じます。

TOKYO AIDS WEEKSの開催を通して、次世代の人たちに過去の記憶を伝えていくことができたらと願っています。
皆さまも、可能な範囲で、話題にしてみてください。

TOKYO AIDS WEEKSを語ろう

PrEP今、現場で起きていること

生島

二つの地域で、それぞれ3か所の医療機関の協力を得て、厚労省のPrEP研究班が実証実験を行なっている。この広報やアンケートなどの手伝いをしている。札幌、沖縄で初めてPrEPを始めようとする人たち、始めた人たちの声を、アンケート調査結果でお聞きしているのだが、この声がデータが大きく、日本のPrEPのあり方を変える可能性を秘めている。ですので、もっと多くの人たちに、ぜひ、ご参加いただきたい内容です。お知り合いがいたら、ぜひ、声かけをお願いします。

2024年8月、ツルバダが曝露前予防(PrEP)としての認可(保険適応なし)された。これを受けて、日本エイズ学会のガイドラインも変更になるため、PrEPポケットガイドも内容を大きく変更した。ぜひ、ご覧ください。

先日、ぷれいす東京の活動報告会で、興味深いトークを行なった。
この3年の厚労省のエイズ動向委員会・年報をみると、R6は(速報値)ですが、エイズつまり症状がでた状態で報告されるHIV陽性者がじわじわと増えてきている。保健所などで実施されている、無料匿名のHIV検査の年間の実施数はコロナ禍から回復傾向で、以前の7〜8割まで戻っている。なので、当然、「HIV感染者」の報告数が増加するのは理解できる。しかし、感染からある期間、多くが5年〜10年で何らかの症状が出てくる「エイズ患者」の増加はどう解釈したらいいのだろうか。慎重さは求められるが、感染の広がりが疑われる。

このトークでは、まさに、この3年間の「エイズ患者の増加傾向」を説明しようと企画したものだ。ぜひ、ご覧ください。特に菊池さんの報告には、日本のサブタイプの分析から、想像されるどのような性的な交流による感染報告だとウイルスのタイプからの分析結果をご紹介いただいたり、抗HIV薬の薬剤耐性の出現状況から想像される日本の課題について触れてもらう。HIV検査を受けないで、PrEPをスタートしたと想像される耐性の変異をすでに出現していることなどを報告してもらった。

PrEPユーザーはMSM(男性と性行為をする男性)を対象にした調査で、過去、現在の使用が10%を超えている。こうした利用者の増加が、感染の広がりが抑えられている面もあるでしょう。しかし、適切でない使用が散見されるため。使用開始時には、事前にHIV陰性を確認し、念ため1ヶ月後にもHIV検査をきちんと受けることがとても大事であることが分かった。

PrEPの札幌、沖縄での実証実験では、クリニックに行ってもらい、検査を実施、陰性を確認してから、服薬を開始してもらった上で、PrEPを手に入れらる研究なのだ。ぜひ、宣伝にご協力ください。

署名活動を引き続きやっています。厚生労働省、製薬企業に働きかけます。
ぜひ、協力ください。

署名募集中「HIV感染を薬で予防する方法、PrEPを日本でも当たり前の選択肢に!」


HIV陽性の皆様へのお願い

生島

HIV陽性者のための療養支援サービス「UUコンシェルジェ」、「とどくすり」という新しいサポート、アプリの紹介イベントを開催します。

そこで、陽性者の方へのお願いです。拡散にもご協力ください。
お願い①【アンケートにご協力ください!】
イベント内で発表するアンケート回答にご協力ください。
まだ、人数が不足しています。5分程度の簡単なアンケートです。
https://x.gd/wqyUp

お願い②【イベント】にご興味のある方はご参加を。
5/27(火)の学習会の詳細
https://x.gd/FftGD


私たちにできることは何? “米の援助削減で感染症死者が大幅増”推計、米国の活動家抗議で逮捕

生島

adbocateによると、「エイズ活動家らは水曜日、トランプ政権による世界規模のエイズ対策資金削減に抗議して再び逮捕された。これは2月13日と26日の抗議活動中に行われた逮捕に続くものである。」と報じている。
NHKはWHOの事務局長のコメントを紹介している。「アフリカを中心に毎年多くの死者が出ているエイズ対策をめぐっては、各国で治療薬が不足しつつあり、このままではことしのエイズ関連の死者数は300万人と、去年の3倍以上になるという推計を明らかにしました。」
私たち市民社会はこの事態を目の前にして、何ができるのでしょうか。


WHO “米の援助削減で感染症死者が大幅増”推計 見直し求める

2025年3月18日 8時25分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250318/k10014752721000.html
WHO=世界保健機関は、アメリカが対外援助を大幅に削減した場合、エイズやマラリアなどの感染症による死者数が、大きく増えるという推計を明らかにし、トランプ政権が打ち出している削減方針の見直しを求めました。

More AIDS activists arrested when protesting global funding cuts
https://www.advocate.com/news/hiv-protesters-arrested-again
AIDS activists were arrested again Wednesday while protesting the Trump administration’s cuts to funding to fight the disease globally. This follows arrests that were made during protests February 13 and 26.

世田谷区の職員研修について

生島

世田谷区保健所感染対策課が企画した「HIV理解促進研修」職員向けの研修会に、加藤さんと二人で講師を勤めてきました。全庁から多様な職員が参加してくれ、素晴らしい会となりました。会場に世田谷区の名誉区民の写真が飾ってあり、ビッグネームだらけでびっくり‼️

2025年の年頭に思う、セクシュアルヘルスの今後

生島

「樽井理事の突然の訃報」

2024年1月18日、ぷれいす東京の研究担当理事であった樽井正義さんが急逝されました。そのわずか9日前、私たちは厚生労働省への研究報告について最後のやり取りを交わしていたため、この訃報はあまりに突然のものでした。

ぷれいす東京の研究班「地域におけるHIV陽性者支援のための研究」では、2008年の初代から生島が研究代表者を務めていましたが、2012年にぷれいす東京の代表を引き継ぐことになり、団体の代表や相談員を兼任しながら研究代表を続けることが難しいと理事会で相談しました。すると、樽井さんが理事の一人として「自分が研究代表を引き受けてもいい」と提案してくれました。その後、2012年から10年以上にわたり、彼は研究代表としてこの難しい役割を担い続けてくれました。

樽井さんはいつも「俺はこれが最後だから、ちゃんと次の代表を決めておけ」と話していました。その理由を私は「年齢的な問題だろう」と思っていましたが、訃報を受けた後、家族から知らされたのは、彼が長年がんを患っていたという事実でした。彼は家族にすら病気を口外しないよう頼んでおり、最期まで研究の責任を果たし続けてくれていたのです。

「PrEPと樽井さん」

樽井さんとの思い出には、彼の歯に衣着せぬ物言いが常にありました。たとえば、MSM(男性とセックスをする男性)の間でコンドーム使用率が低下していることや、薬物使用者にとってのPrEP(HIV予防薬)の重要性について説明した際、「なんでちゃんとコンドームの啓発をしないんだ」と正論で返されたことがありました。当初、このようなキャッチボールを苦手に感じる時期もありました。しかし、研究パートナーとして彼と議論を重ねるうちに、その率直な視点が私たちにとって重要であると気づかされました。そのような物差しを失ったことは、私たちにとって大きな損失です。

2024年8月、日本ではHIVの治療薬ツルバダが予防薬として薬事承認され、「PrEP元年」と呼べる年になりました。PrEPは適切に使用すれば感染リスクを99%低減できるとされていますが、米国に比べ12年遅れの承認は、私たちが世界から遅れを取っている現状を浮き彫りにしました。

私たちの調査では、アクティブなMSMのうちPrEP使用者は10%以上に達しているものの、その7割以上がオンラインで薬を入手し、医師の診察を受けていない人が半数を超えています。また、HIV検査を受けずにPrEPの服用を始め、感染を見逃しているケースも報告されています。PrEPの価格が高いことが、利用者をオンライン購入に追いやり、医師の監督下での適切な利用を阻んでいるのです。

「課題解決に向けて」

この課題を解決するため、現在PrEPの普及を目指した署名活動を実施中です。akta、カラフル@はーと、ピルコン、#なんでないのプロジェクト、ぷれいす東京が協力し、この活動を進めています。

・署名プロジェクト
HIV感染を薬で予防する方法、PrEPを日本でも当たり前の選択肢に!

さらに今年は一歩先にすすみ、LGBTQ+コミュニティの性の健康や医療アクセスの課題を調査する「CONSENTプロジェクト」を計画しています。

・CONSENTプロジェクト https://consent.info/

昨年は、ぷれいす東京を応援していただき、本当にありがとうございました。
引き続き、これらの取り組みを通じて、より多くの人が安全で健康な生活を送れる未来を目指します。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

認定NPO法人ぷれいす東京
代表 生島 嗣
スタッフ一同

ぷれいす東京NEWS 2025年新年号より)

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「陽性者と家族の日記」紹介

生島

今日は、「陽性者と家族の日記」を紹介します。2002年にスタートしました。メンバーは途中で入れ替わりがありますが、素敵な書き手がずっと日記にて普段の生活の断片を文章にしてくれています。SNSのように読み手の反応があるわけではないなか、11人の書き手が黙々とかいてくれています。

陽性者と家族の日記
現在は11人の性別、年代、セクシャリティ、住んでいる地域など、さまざまなHIV陽性者が日記をつづっています。HIV陽性者の何でもない日常や、ちょっとした生活のかけらに触れてみてください。https://ptokyo.org/diaries

もし、フィードバック感想を書きたい場合にはこちらに、投稿できます。
ぜひ、感想をお寄せください。
ぷれいすvoide
https://ptokyo.org/voice

この日記には、いくつも素晴らしい書き込みがあるのですが、今日はその一つを紹介します。

バースデーケーキ(長文)
 みのる

バースデーケーキ(長文)

 

30周年記念トーク市川誠一さんと一緒にハッテン場調査を振り返る

生島