2012/1/31 おーつき
滞日外国人ら日本語を話さない人たちが、HIV検査やそれに関連する医療にかかる際の支援をする医療通訳の育成を目的とした「通訳とHIV感染症研修会 」が都内で開催されました。
通訳としてフォーマルなトレーニングを受けた経験はありませんが、バディ などとして日本語を話さないクライアントと英語を話さない相手とのコミュニケーションをお手伝いするような形で、通訳に準ずる活動をすることがたまにあり、興味があったのでわたしも参加させてもらいました。
外国で医療にかかるストレスや、他にHIVや性に関する事柄について相談できる人がいないという孤立状態などから、患者側から母語で話ができる通訳者に対し、通訳以上の役割が求められることもあるそうです。
通訳としての本来の役割をきちんと果たすためには、限界設定をして適宜他の専門家へつなぐことや、プライバシーに配慮しつつ業務の後には振り返りやシェアリングをすることも重要…等々、他の対人支援職に通じるようなポイントがたくさんあり、また通訳者も地域のHIV/AIDS支援リソースのひとつなのだと認識を新たにしました。
医療現場で話される専門用語は、知識がないと母語であったとしても難解なものばかりですが、医療者の言葉の90パーセントくらいは実は平易な言葉に言い換えることが可能であるという、通訳でなくとも役立ちそうなお話も。
そういった医療通訳の基礎や心構え、外国人のための医療や社会支援体制についてひと通り学習した後は、講師たちが患者・医師役となり診察室でのやりとりを模したロールプレイ形式で、参加者が実際にそれぞれの言語で通訳を行うという演習をみっちり。
HIV陽性告知などで取り乱したり、患者・医師間の信頼関係が損なわれ板挟みにされたりした場合どう通訳するか、などのお題がシナリオに盛り込まれていました。
ド素人のわたしは最初あたふたして日本人医師役に英語で話しかけ患者役には日本語で話しかけたり、訳しているうちに伝言ゲームがごとく言っている内容が変わってしまったりと、傍から見たらまるでコントのようだったとか。
通訳の難しさと、だからこその重要性、そして面白さ(?)の一端も、身をもって知りました。
とりあえず、通訳は(現世はムリそうなので)生まれ変わったらなりたい職業No. 1に!
2011/12/5 おーつき
第25回日本エイズ学会学術集会・総会 の初日に開催されたHIV陽性者参加支援スカラシップ委員会 (はばたき福祉事業団、ぷれいす東京、日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス)による共催シンポジウム『HIV陽性者によるエイズ対策への参画 』には84名もの方にご来場いただきました。どうもありがとうございました。
今年見直しが行われた「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針(エイズ予防指針)」ですが、指針そのものは実行力に課題があり、今後の日本のエイズ対策にこの指針をどう生かし、現状を変えていけるか?という問いかけがなされました。見直された指針では随所で「NGOとの連携」が明文化されたのを受け、行政とNGOとの恊働――そしてそこでは当然HIV陽性当事者の参画が求められていますが――においては、NGO側から動かないと何も変わらない、NGO側の提案力や恊働力が試されるのではないか、といった見方がパネリストらからは示されました。現在のNGO活動はとかくリソースが不足しているというのが共通認識ですが(東京周辺と他の地域との差についても言わずもがな)、そんなリソース不足を克服するためにも、うまく恊働し障害を乗り越えていかねばならないようです。
※「エイズ予防指針作業班報告書」はこちら からご覧いただけます。
なお、今年はHIV陽性者参加支援スカラシップの資金調達においても困難があり、本シンポジウムの会場でもご寄付のお願いをさせていただきました。募金箱にお心付けをくださった方、振込でご寄付をくださった方、本当にどうもありがとうございました。当事者参画のひとつのあり方として、今後もまたひとりでも多くのHIV陽性者の学会参加をバックアップしていけるよう、本スカラシップの維持拡充に役立てさせていただきます。
2011/11/13 おーつき
ある大学のキャンパスで開催されていた「沈黙=死:エイズ危機とドラァグ」という公開講座に行きました。20世紀前半から現在に至るまでの アメリカのゲイ・アクティヴィズムの潮流にHIV/AIDSの登場が与えた影響と、エイズ・アクティヴィズムの 位置づけなどを重ねていくお話でした。
1981年に初めてAIDSの症例が報告されてから、今年で丸30年。先だって東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映されたドキュメンタリー『あの頃、僕らは―いま語られるエイズの記憶 』など、HIV/AIDSと、HIV/AIDSを取りまく人たちの歩んできた歴史を振り返る機会が増えています。
参考:
●カイザー・ファミリー財団による、アメリカのHIV/AIDSの登場からの30年間を追うドキュメンタリー映像 http://www.kff.org/hivaids/062111vid.cfm
●アメリカ政府の保健社会福祉省による、HIV/AIDS30周年の特設サイト http://aids.gov/thirty-years-of-aids/
HIV/AIDSの登場で、その感染機会の多さなどからとりわけ大きな影響を受けたゲイの危機に際し、コミュニティ内でレズビアンなど他のセクシュアル・マイノリティたちと大きく団結する契機となったというアメリカの例が紹介されたことに対し、聴衆のひとりから、日本ではゲイのHIV/AIDS活動とレズビアンたちとはともに年々離れていってしまっているのではないかという投げかけがあったのが印象に残りました。個人的にも、その辺りは道半ばかと感じているところです。
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HIV陽性者参加支援スカラシップ委員会 の恊働シンポジウムなどで、日本でもHIV/AIDSにかかわる医療の進歩や、免疫機能障害の認定など現在ある社会制度ができた背景などに言及があると、以前の状況を知らない比較的若い参加者らから新鮮な反応があります(興味のある方は、過去のスカラシップ報告書 などもご覧ください)。
はばたき福祉事業団、日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラスとぷれいす東京の共催でお送りする今度のHIV陽性者参加支援スカラシップ委員会恊働シンポジウム企画は、今年見直しの検討が行われたエイズ予防指針をテーマにした『HIV陽性者によるエイズ対策への参画 』。今月末の日本エイズ学会学術集会・総会に行かれる方は、ぜひこちらもよろしくお願いします。
2011/11/7 おーつき
毎月第1日曜日の夕方に開催されている「Living Together Lounge 」。多様性をともなった視点から「全ての人がHIVとともに生きている」というリアリティを共有するためのプロジェクト、Living Together計画 (呼びかけ団体:ぷれいす東京、akta )が主催する、HIV陽性者やその周囲の人によって書かれた手記の朗読とアーティストによるライブで構成されるイベントで、この6日(日)の回で83回目を迎えました。
毎月やっているから行きたい時にはいつでも行けるし…と思っていて、ついつい行きそびれていたところ。(1月22日の日記 に書いた)よく行くカフェでいつも良くしてくださるスタッフの方が、手記の朗読をされるというのをきっかけに久しぶりに足を運んだら、このイベントに参加したのは2年振りとかいうお友だちとの偶然の再会を果たしたり、最後に会ったのは前回このイベントに来た時だったというお友だちにも久々に会えたり、一方で特に連絡を取り合った訳ではないけれどそこに行けば会えるだろうと思っていたいつもの遊び友だちともやっぱり会えたりと、そこは"It"な場所。朗読とライブにプラスαの喜びがありました。そういえば、「Living Together Lounge」の会場で出会ってつきあい始め、その後もふたりで連れ添ってこのイベントに参加しているという友人カップルも。わーい。
第84回となる次回の「Living Together Lounge」は、12月4日(日)開催です。夕暮れ時のグッタイム、よければご一緒に。
2011/11/5 おーつき
──ということで、今年発行された、ぷれいす東京のスタッフが執筆した書籍についてのご案内です。
「思いこみの性、リスキーなセックス 」(池上千寿子 著/岩波書店 刊)
→「若者の気分」シリーズの1冊。若者の性の意識を通し、若者だけでなく社会の性に対するさまざまな思いこみをあぶり出して切り込む。
「21世紀の課題=今こそ、エイズを考える 」(池上千寿子 著/日本性教育協会 刊)
→「現代性教育研究月報」の連載集。HIV/AIDSが初めて報告されてから30年、HIV/AIDSとそれをとりまく人々と社会を見つめ直す。
「福祉系NPOのすすめ ─実践からのメッセージ─ 」(牧里毎治 監修/ミネルヴァ書房 刊)
→福祉系NPOをテーマに、その設立・運営などの理論と、現場の想いや人とのつながりなどの実践を紹介する専門書。「実践編」の第3章「HIVとともに生きる人たちがありのままに生きるために」を生島嗣が執筆しています。
本屋さんで、あるいは図書館などで(蔵書になければリクエストして?)ご覧いただければ幸いです。
2011/10/28 おーつき
「70億人の世界×70億人のアクション 」というシンポジウムを観に行きました。
1999年に60億人を超え話題になった世界人口が、もう間もなく70億人を突破すると言われています。
持続可能な開発やエネルギー関連のマクロ政策だけでなく、人口の増減に直接的に結びつく個々のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ、セクシュアル・ヘルス/ライツの支援の重要性がこの人口問題の分野でも強調されています。
また先の東日本大震災の被災地において、このシンポジウムの主催団体のような国際協力・開発系の団体、専門家たちのいわゆる途上国支援の中で得たノウハウを生かした支援が奏功した例も聞き、色々な結びつきを感じて帰ってきたのでした。
「人口時計」
2011/9/27 おーつき
おかげさまで、新人ボランティア合同研修 も20名の参加者の方々とともに3日間の日程を無事に終えることができました。どうもありがとうございました&お疲れさまでございました。
2011/9/15 おーつき
ぷれいす東京は、先頃新宿区の登録NPO法人 の認定を受けました。新宿区役所内に開設されているNPO活動情報コーナーや、新宿区民活動情報サイト でも活動を紹介してもらっています。
そのサイトを始め、Webでも告知していた10日(土)の新人ボランティア・オリエンテーション は21名の方にご参加いただきました。どうもありがとうございました。
写真は事務所近くの区立の地域センターの利用団体登録証。
2011/9/14 おーつき
いくさんがたくさん買ってきてくれたお土産で、蟹にちなんだお菓子であふれているぷれいす東京事務所です。お仕事の合間においしくいただいています。
↑いくさんの新しいデジカメでさっそく撮影v
2011/9/2 おーつき
公式発表によると65ヵ国から計2,998名(うち日本からは97名)が参加登録したアジア・太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP) は、30日(火)に閉幕しました。
滞在先のテレビで朝晩に観ていたBBCやCNNのニュースでは、緊迫するリビア情勢やナイジェリアで起きたテロ事件などの報道が連日繰り返し流れていました。ICAAPの全体会議のひとつで講演した研究者で活動家のデニス・アルトマンが、HIV/AIDSをより広く、世界で起こっている様々な社会正義やガバナンスに関わる問題と結びつけていくアプローチが今後は重要になるだろうと話していたのが印象に残りました。
その他に目についたのは、昨年の国際エイズ会議 で採択されたウィーン宣言 以来、引き続き薬物使用のテーマに関して高い注目が注がれていたこと、国際労働機関(ILO) によってセックス・ワークが労働と認識されるようになってきたことなどほか、薬物使用者やセックス・ワーカーら特にHIV/AIDSに影響を受けやすい主要な人口集団を指す"Key Affected Populations(KAP)"のコンセプトが浸透しつつあることなどが挙げられます。コミュニティなどで支援や啓発を行うグループとして、NGOやCBOと並び、FBO(Faith-based Organization、信仰に基づく団体)の実績もよく聞くようになったように感じました。
***
いわゆる社会系のプログラムが多いICAAPですが、2年前に開催された前回の会議で訴えられていたテーマやロジック、そのものズバリ同じフレーズを、今回の会議でデジャヴのようにまた見聞きすることがありました。それだけ達成が難しかったり、あるいは普遍性のあるテーマだったりする故なのかもしれませんが、一方で「あれから2年間、あなたたちは一体何をやっていたの?」という手厳しい声も聞かれました。
2年で目に見える結果が出るような活動ばかりではないのでしょう。そもそも、続けられるだけでもすごい、というような厳しい環境で活動をしているのかもしれません。それぞれのフィールドでHIV/AIDSにかかわる人たちが、2年に一度集まって各々のモチベーションを上げてまたフィールドに戻り活動を続けていくためにも、こういう国際会議の場が機能しているのかもしれません。
ICAAPの次回会議は、タイのバンコクで2013年に開催予定です。
★おまけ★
釜山で「Living Together」に新しい仲間が増えました。
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